今週のハイライト!「米2月雇用統計」

 今週金曜日(5日)、BLS(米労働省労働統計局)が2月の雇用統計を発表します。

 失業率の予想は6.4%。アメリカの失業率は昨年4月に14.7%を記録したあと順調に低下しています。コロナ流行前の3.5%に比べると高水準ながら、去年多くのエコノミストが口にしていた「10%台に高止まり」という悲観的予想を覆す健闘ぶりです。

 しかし安心してはいけない。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、実際の失業率は、雇用統計の6%よりも、むしろ10%に近いとの見解を示しています。さらに、この状況が改善されなければ、米国の経済成長に長期的な影響を与えると警告しています。

 もっとも、悪い材料ばかりではありません。1月の平均労働時間は、0.3時間増加して35.0時間になりました。非農業部門雇用者数が伸び悩むなかで平均労働時間が増加していることは、雇用ニーズが強まっているからです。

 米国ではレジャー関連を中心に、この数ヵ月間で60万人近くのレイオフが行われました。しかし、コロナ感染者数の減少とワクチン接種の進展によって、これらの人々が再び労働市場に復帰できる期待が高まっている。経営側とすると、労働力確保のための賃上げが必要になる。賃金上昇は消費拡大となり、物価上昇へとつながります。今週は平均労働賃金に注目です。