トレンドの上昇基調が崩れた?「23.6%押し」で株価反発の余地が残る

 次に、日経平均のトレンドと相場のリズムについて見ていきます。

■(図2)日経平均(日足)の動き (2021年3月5日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は前回のレポートでも紹介した、昨年10月末を起点にして、1月末の下落時と結んだトレンドラインと、株価の押し目の想定を示したものです。

 トレンドラインについて、「ここをサポートにできれば、反発への萌芽(ほうが)となる可能性がある」ことを指摘しましたが、先週末にかけての株価下落によって明確に下抜けてしまいました。トレンド的には上昇基調がいったん崩れた可能性が出てきたわけです。

 その一方で、押し目としてはまだ株価が反発する余地があります。チャートを少し過去にさかのぼると、1月末から2月にかけての時は、10月末から直近高値の上昇幅に対する「23.6%押し」のところで株価が反発していきましたが、足元では5日(金)の終値で微妙に下回っているものの、誤差の範囲と考えることもできます。

 相場のリズム的には、「ひとまずここを押し目として意識し、戻りを試してみる」動きがでてきてもおかしくはなさそうです。早い段階で25日移動平均線を超えることができれば、買いに勢いが出てくることも考えられます。株価が上昇していった場合には、前回と同じく、直近高値どうしを結んだ「上値ライン」を超えられるかが注目されます。

 ただ、戻りの勢いが弱ければ、「38.2%押し(2万7,747円)」、「50%押し(2万6,831円)」が次の押し目となります。ちなみに、38.2%はちょうど75日移動平均線と同じ株価水準、50%押しについても昨年12月にもみ合っていた時の株価水準ですので、仮に下落が進んでいったとしても、サポートとして機能しそうなため、押し目として意識されそうです。

TOPIXは日経平均よりも底堅い状況

 また、同じ視点でTOPIX(東証株価指数)についても見ていきます。

■(図3)TOPIX(日足)の動き (2021年3月5日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 TOPIXについては、株価がトレンドライン、23.6%押しの両方を維持しており、日経平均よりも底堅い状況と言えます。メジャーSQが控える今週は需給要因が先行しやすいですが、TOPIXが堅調に推移できれば、日経平均の荒い値動きが抑制されることも考えられます。

 また、需給といえば、先週の日本株市場は、「円安・株安」という局面が多く見られました。一般的なセオリーでは、円安は株高につながることが多いのですが、逆の動きをたどったわけです。

 恐らく、米株市場が荒れ気味になってきたことで、外国人投資家が日本株を売却(株安)して、資金を引き揚げる(ドル買い・円売り)動きになっているからと思われます。いわゆる外国人売りですが、この動きが一巡すれば、ある程度の株価反発が見込まれます。