優待の廃止・変更が増加。クオカード優待は今後少なくなる!?

 2020年はコロナ禍の影響もあって優待を廃止・中止したり、改変する企業が続出しました。6月・12月優待の人気株だったすかいらーくホールディングスの優待カードが年間2,000円分減額されたり、10月優待のパーク24が業績悪化で優待を一時中止しているのが目立った例です。人気の遊園地優待だったよみうりランド、東京ドームなど、TOB(株式公開買い付け)による上場廃止で優待が消滅した会社もあります。

 コロナ禍と関係なく、配当重視の観点から優待を廃止する不動産・金融関連の企業も多く、4月の人気優待だった不動産会社グッドコムアセットのプレミアム優待倶楽部が廃止されました。2022年4月以降、東京証券取引所では市場が再編される予定です。上場維持の基準だった株主数が2,000人以上から800人以上に緩和される見通しもあり、株主数維持のために優待制度を導入していた企業が今後、制度を廃止する流れが起こりそうです。そういう意味では、金融、不動産業や製造業に多かったクオカードなど金券、ギフト券、カタログ系優待が少なくなる可能性もあります。

 とはいえ、飲食、流通、小売、旅行・観光関連企業の自社買物・食事券など定番の優待に関しては、コロナ禍の2020年にあっても、廃止や中止はほぼ皆無でした。優待企業にとって、優待株投資家は実際の店舗を頻繁に利用してくれる「お客様」です。顧客をつなぎとめる意味でも優待制度を継続する可能性が高いと考えます。

 ちなみに、今回の4月優待を4月27日の権利付き最終日に現物買いと信用売りを行うクロス取引(つなぎ売り)で取得する場合、翌28日の権利落ち日における決済注文の返済受渡日はゴールデンウイークを挟んだ5月6日になってしまいます。そのため、祝日も含む合計7日分の貸株料や場合によっては高額の逆日歩がかかることになるので注意が必要です。

※つなぎ売りの注意点について詳しくは、楽天証券ウェブサイト『リスクを抑えて株主優待を獲得する「つなぎ売り」について』をご覧ください。