4月の株主優待銘柄

 4月の優待株は、権利付き最終日が4月27日(火)、権利落ち日が28日(水)。4月29日(木)の祝日(昭和の日)を挟んだ4月30日(金)が優待の権利確定日です。4月27日(火)までに株を買って、28日(水)まで保有することが優待権利獲得の条件です。4月30日(金)の翌日からはゴールデンウイークに入るため、翌週木曜日の5月6日まで取引が行われないので注意しましょう。

 2021年度に入って初の優待権利月となる4月。優待権利の確定銘柄が29銘柄(※)と、12カ月中で最少です。ただし、自社飲料優待で人気の伊藤園は普通株と第一種優先株の両方で優待品がもらえるので厳密には30銘柄になります。伊藤園以外にも旅行券のエイチ・アイ・エス、美容家電のヤーマン、飲食店優待のテンポスホールディングスなど優待人気の高い少数精鋭のラインアップになります。
※楽天証券 株主優待検索より

 そんな4月優待で昨年から順位を上げて第1位になったのは、大手旅行会社のエイチ・アイ・エスです。

 コロナ禍の直撃を受けて2020年10月期は売上が約半分になり、250億円もの巨額赤字を計上。今2021年10月期も第1四半期の売上は前期比82%減と深刻な経営不振が続いているので投資に際しては注意が必要です。しかし、新型コロナウイルスのワクチン接種も始まり、今期後半の業績回復を見越して株価は2021年に入って大きく上昇しています。

 優待内容にも変化はなく、100株保有で4月末、10月末の年2回、2,000円分の株主優待券(1万2,000円の旅行商品の支払いにつき1,000円券1枚利用可)、長崎のハウステンボス、愛知のラグーナテンボスの入場割引券500円分(株主1人につき最大5名分割引)がもらえます。

 海外旅行はいまだに難しい状況が続いていますが、都市部の緊急事態宣言が解除され、再び「Go Toトラベル」が再開されることに期待したいものです。

 第2位は美容家電のヤーマン。2020年度からは自社商品ではなく、同社オンラインストアで利用できる株主優待割引券に内容が変更され、100株保有の場合、4月末の年1回、5,000円分が贈られます。2年以上保有すると倍の1万円分になるなど、投資金額約17万円に対してかなり高額な優待券は大きな魅力です。

 第3位には三井物産と中国系資本のイデラキャピタルがスポンサーの総合型J-REIT(ジェイ・リート:国内の不動産投資信託)・投資法人みらいが初めてランクイン。4月末、10月末、1口以上保有の投資主に対して一律、協力ホテルに会員専用の固定料金やプレミアム料金、10%割引などで宿泊できる割引サービスが提供されます。

※2021年4月期の、ホテル宿泊料金の割引に関する優待制度については、3月4日時点で「継続する方針ですが現時点では未定」と案内されています。

 第4位は、飲食店向け厨房機器販売のテンポスホールディングス。4月末の年1回、100株以上の保有で一律、8,000円分の食事券が贈呈されます。同社は全国各地の飲食店と取引していることもあり、首都圏では同社子会社「ステーキのあさくま」などのレストラン、「串屋横丁」や「エビス参」といった居酒屋で幅広く使えます。100株・約21万円の投資に対してもらえる食事券の高額さも人気の理由です。

 第5位は、九州を地盤に結婚式場を運営するアイ・ケイ・ケイ。4月末の年1回、100株保有で1,500円相当の特選洋菓子の他、レストラン優待券3枚がもらえます。東京では高級フレンチ「ラ・ロシェル」南青山店や山王店、「キュイジーヌフランセーズ ラ・シャンス」豊洲のランチが1,000円引き、ディナーが2,000円引きになるレストラン優待はセレブ気分を味わえると人気です。

 第6位は回転寿司のくら寿司。4月末株主に対して年1回、100株保有で2,500円分の食事券が贈呈されます。200株だと約150万円と高額投資になりますが、5,000円分に倍増。うなぎの蒲焼12食分などネット通販商品との交換も可能になります。

 第7位は伊藤園の自社製品優待です。4月末の年1回、100株保有だと1,500円相当の自社製品が贈呈されます。普通株だけでなく第一種優先株式でも優待内容は同じで、議決権のない優先株のほうが投資金額も3分の1強で配当も年間10円高いのでお得です。

 第8位はタイヤ・ホイール販売店のフジ・コーポレーションのギフト券優待。1年以上の継続保有を条件に4月末の年1回、100株保有で5,000円分の三菱UFJニコスギフトカードが贈呈されます。

優待の廃止・変更が増加。クオカード優待は今後少なくなる!?

 2020年はコロナ禍の影響もあって優待を廃止・中止したり、改変する企業が続出しました。6月・12月優待の人気株だったすかいらーくホールディングスの優待カードが年間2,000円分減額されたり、10月優待のパーク24が業績悪化で優待を一時中止しているのが目立った例です。人気の遊園地優待だったよみうりランド、東京ドームなど、TOB(株式公開買い付け)による上場廃止で優待が消滅した会社もあります。

 コロナ禍と関係なく、配当重視の観点から優待を廃止する不動産・金融関連の企業も多く、4月の人気優待だった不動産会社グッドコムアセットのプレミアム優待倶楽部が廃止されました。2022年4月以降、東京証券取引所では市場が再編される予定です。上場維持の基準だった株主数が2,000人以上から800人以上に緩和される見通しもあり、株主数維持のために優待制度を導入していた企業が今後、制度を廃止する流れが起こりそうです。そういう意味では、金融、不動産業や製造業に多かったクオカードなど金券、ギフト券、カタログ系優待が少なくなる可能性もあります。

 とはいえ、飲食、流通、小売、旅行・観光関連企業の自社買物・食事券など定番の優待に関しては、コロナ禍の2020年にあっても、廃止や中止はほぼ皆無でした。優待企業にとって、優待株投資家は実際の店舗を頻繁に利用してくれる「お客様」です。顧客をつなぎとめる意味でも優待制度を継続する可能性が高いと考えます。

 ちなみに、今回の4月優待を4月27日の権利付き最終日に現物買いと信用売りを行うクロス取引(つなぎ売り)で取得する場合、翌28日の権利落ち日における決済注文の返済受渡日はゴールデンウイークを挟んだ5月6日になってしまいます。そのため、祝日も含む合計7日分の貸株料や場合によっては高額の逆日歩がかかることになるので注意が必要です。

※つなぎ売りの注意点について詳しくは、楽天証券ウェブサイト『リスクを抑えて株主優待を獲得する「つなぎ売り」について』をご覧ください。

4月株主優待 人気ランキング

1位 エイチ・アイ・エス

優待発生金額※1:227,600円
エイチ・アイ・エスの優待品例: 旅行割引券等

順位 コード 銘柄名 優待品例 優待発生金額※1
2 6630 ヤーマン 買物割引券 166,900円
3 3476 投資法人みらい 宿泊割引 44,350円
4 2751 テンポスホールディングス 食事券 216,400円
5 2198 アイ・ケイ・ケイ 自社特選品等 61,700円
6 2695 くら寿司 飲食券 747,000円
7 2593 伊藤園 自社製品 643,000円
8 7605 フジ・コーポレーション ギフトカード 234,800円
9 2438 アスカネット 自社サービス割引券 95,500円
10 8079 正栄食品工業 自社製品等 392,000円

最新の情報は、楽天証券の「株主優待検索」>>

※この記事は銘柄を推奨するものではありません。
※売建可能数量や日歩は、楽天証券ウェブサイトにログインいただくとご覧いただけます。
※株主優待・配当金は各企業の判断で廃止・変更になる場合がございます。お取引にあたりましては最新の株主優待情報を各上場会社のホームページ等にてご確認ください。
※1優待発生金額 = 前営業日終値(3月4日)× 優待獲得最低株数*で計算した金額です。
※このランキングは楽天証券での保有されているお客様の人数が2021年2月21日時点で多い順番です。

「株主優待検索」のやり方

 4月の人気優待銘柄を「株主優待検索」で調べる方法を解説します。ログインは必要なく、どなたでもお使いできます。

 ※スマートフォンでお読みの方は、上記をクリックすると、「楽天証券スマートフォン専用サイトへ移動しますか?」とポップアップが出ます。「OK」をクリックしてください。スマホでも、PC版とほぼ同じ検索が行えます。
 ※楽天証券ウェブサイトのトップページから、「株主優待検索」を開く場合は、「国内株式」→「株主優待」とクリックしてください。次に、水色の文字で「株主優待検索」と出ているところをクリックしてください。

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