ラッセル2000に連動を目指す米国ETFの押し目を狙う

 S&P500指数やダウ平均は、米国の産業界を代表する大企業で構成されているため、グローバル企業が多く含まれています。一方で、構成銘柄が小型企業のラッセル2000指数は、米国内を主な事業領域としている企業がほとんどです。

 こうした面で、ラッセル2000指数は米国内を主戦場とする中小企業の株価動向を追う上で活用され、その値動きが米景気動向に先行しやすい点も注目されています。同指数を構成する小型株に投資することも可能ですが、投資対象として個別銘柄をピンポイントで見抜くことは困難です。本稿では、全体として業績見通し改善期待が大きいラッセル2000指数に分散投資することができる投資ツールを下記にご紹介します。

<図表3:ラッセル2000に分散投資する米国ETFを検討する>

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2018年初~2021年2月24日)

 図表3は、ラッセル2000指数に連動する投資成果を目指す米国上場ETF(上場投資信託)の「iシェアーズ・ラッセル2000ETF」(ティッカーシンボル:IWM)の取引価格推移を示したものです。IWMは、小型株に分散投資できるETFとして米国市場で人気が高く、運用純資産は約693億ドル(約7.3兆円)に達しています(運用会社:ブラックロック)。

 ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によると、米国での新型コロナウイルスによる死者数は累計で50万人を超えました(2月22日)。累計感染者は2,800万人を超えており、いずれも世界最多です。米国の実体経済は「K字型」と称されるように、底堅さをみせる個人消費、住宅市況、一部製造業、DX関連を除く大部分に依然として厳しい状況がみられます。冬場を越えて感染拡大ペースがピークアウトするなか、ワクチン接種普及、バイデン政権と金融当局による政策シナジー効果を受け、米国経済は年後半に向け回復軌道をたどると考えられます。

 こうした景気の回復局面で市場平均(S&P500指数)を上回るパフォーマンスが見込めるラッセル2000指数の一時的な下落では、上記ETFの押し目買いを検討したいと思います。

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