投資デビュー5つのステップ
さて、5つのステップを見てみよう。
ステップ1:投資額の捻出
私が最初に掲げる投資のステップは「節約」である。
なんとなくどこかにある100万円を投資原資として突っ込むというのは古い価値観の投資スタイルだ。
30代が今から投資をスタートするなら「ゼロ円スタート」でいいし、むしろ投資経験の浅さを考えればそのほうが望ましい。急落相場がやってきたとき、耐え忍ぶことのできる投資金額を設定することが重要だが、毎月数万円程度を積んでいくなら、あまり一喜一憂せずに投資を継続することができる。
このとき肝心なのは「毎月の投資原資の確保と拠出」で、これは家計管理や節約を意味する。投資と節約を結びつける人はまだ少ないが、投資原資はできる限り解約をせず、長期保有する資産としたい。
むしろ、投資原資確保が投資デビューの大事なステップだということを最初に頭にとどめておきたい。
ステップ2:投資割合の決定
2つ目のステップは、「投資割合の決定」だ。
これはあなたの全財産を一度リストアップし、おおまかな金額を把握したら(10万円単位でもいい)、「何割くらいを投資に振り向けるのか」を検討する。
投資に振り向ける割合は、「元本割れの可能性をこうむる資産割合」である。2020年3月末のように、20~30%の急落が生じることは何年かに一度やってくる。しばらくすれば市場は回復するとはいえ、パニックになるなら投資を継続できず損切りすることになる。そう考えたとき、あわてて損切りせずにすむ投資割合はいくらか考えてみよう。
(全財産額)×(投資割合)×0.3=(30%市場が下落したときの損失額)
初心者は「金額ベース」で損失可能性を一度弾いておくほうがいい。利益については数万円でもうれしいものだから、むしろ悪い可能性を考える。そして、私たちは値下がりによる含み損の発生可能性を過小評価しがちだ。
普通は、全財産を投資につぎ込むわけにはいかないと考えるはずだ。そこで、「資産の半分くらいなら」「3分の1までなら」と投資割合をイメージする。
悩んだ場合はとにかく投資割合(投資金額といってもいい)を小さくスタートすればいい。経験を踏まえて投資金額を増額するのは30代ならいつでもできる。
ここでも、「ゼロ円スタート」は楽だ。ほとんどの場合、いくばくかの定期預金をもっていて積立投資をスタートすることになるので、投資割合は数%から始まり、投資経験の蓄積とともに投資割合が徐々に増えていくことになるからだ。
ただし、この場合も「財産全体の半分を超えるのはちょっとやりすぎかな」というイメージを最初に持っておくことをオススメする。