米株式テーマのランキング変遷

 米株式相場の変遷をETF(上場投資信託)の主要テーマ別騰落率の序列から見てみましょう。4~8月のグロース主導相場一巡後は、ほぼ月次で様相が切り替わったため、月間パフォーマンスの序列として図2にまとめています。

図2:米株式テーマ別ETFの月次騰落率序列表

*ETFテーマ名の文字色は赤:グロース、青:景気・バリュー、緑:時代テーマの便宜上の分類(もちろん別分類も定義次第で可能)
出所:Refinitiv

 まず2020年中の変遷です。

【4~8月】コロナ禍でグロース主導の金融相場。月平均パフォーマンスは、時代テーマのクリーンエネルギー(以下クリエネ)を筆頭にEV、次いでQQQ(ナスダック上位100銘柄)、IT(情報技術)、半導体などグロース系(赤文字)が優位で、金融、高配当など景気・バリュー系(青文字)が下位にあります。

【9月】期待主導で走った金融相場第1波が自律調整で反落し、QQQ、サイバーセキュリティ、ITなどグロース系が最下位に転落しました。クリエネは一人高く、コロナ・テーマのバイオ、医療は相対的に底堅さを保ち、同様にここで底堅かった半導体が単にグロース系でないとの認知が浮上しました。高配当、金融は順位を上げているようでも価格を下落させています。

【10月】上旬が米選挙戦相場で高揚感があったものの、中下旬には泥仕合後の勝敗の不確実性を嫌悪して反落し、そのまま様子見モードになりました。上旬に戻り高値を試したグロース系が反落して下位にあります。ローテーションが話題になり始めたものの、金融・高配当などにまだ勢いは見られません。グロース・景気両狙いの半導体はさらに関心が高まりつつあります。クリエネ、EVは好調継続。

【11月】バイデン氏勝利で同氏公約のクリエネ、さらにそれを上回ってEVが急騰しました。その後、ワクチン朗報が相次いでローテーションに弾みが付きました。半導体の他、バリュー・景気系が高パフォーマンスを見せた一方、IT系グロースも下位ながら堅調で、ローテーション売りの恐怖感が徐々に減退しました。グロース系のうち医療・バイオにとっては、ワクチン朗報が逆に材料一巡感を醸し出し、足踏みしました。この頃から宇宙の将来性についての認知が広がっています。

【12月】相場の下地は良くとも、年末休暇期に向けて勢いが鈍り、テーマごとにも一進一退の様相。クリエネの勢いが続く一方、サイバーセキュリティなど個別にテーマ性を物色する動きが出ました。ローテーションの進捗状況を見ながら、次第にグロースの優位が確認されていきました。

 そして2021年です。

【1月】新政権ブルーウェーブの高揚相場になった一方、月末には反落ショックに見舞われました。クリエネは月後半から先行的に調整気味だったところを、このショックに襲われ、やや深い下押しになりました。その中でEVが相対的には優位を保ったものの、EVはトップ1社の人気が突出しており、値がさの警戒を拭えない面があります。グロース系の見直し買いが進み、ローテーション警戒の呪縛は脱した感があり、医療系もワクチン朗報後の調整を終えて本来のグロース軌道復帰を模索。宇宙がさらに人気を高めています。

 図2の高低感を視覚的に確認するため、図3でグラフ化しています。

図3:米株式テーマ別ETFの月次騰落率チャート

出所:Refinitiv