イエレン財務長官と対中政策、豪ドル

 イエレン財務長官はドルの適正水準について、「ドルの価値は市場によって決定されるべきであり、自国の輸出を有利にするためにドル安を求めることはしない」と述べ、為替操作に断固反対する立場を明らかにしています。トランプ前大統領のドル安誘導政策に決別したという意味では、「ドル高志向」といえます。しかし、イエレン財務長官が長期的なドル安傾向に歯止めをかけるような政策をとるのかというと、むしろその逆です。

 コロナ禍から米経済を一刻も早く立ち直らせるには「大胆な行動(Act Big)が必要」というの が、イエレン財務長官の主張。バイデン大統領の大型景気刺激策をバックアップするために必要とあれば、米50年債の発行も検討することに前向き。日本の財務大臣は「前回のような一律10万円はやるつもりはない」といいましたが、日本政府の「Act Small」とは対照的です。しかし、財政赤字拡大は長期的なドル安要因です。

 それよりもマーケットが注意しているのは、イエレン財務長官が予想以上に対中強硬姿勢だということ。「中国は最大の戦略的競争相手」、「中国の不公正慣行は脅威であり、あらゆる手段で対抗する」と厳しい姿勢を示しています。また「中国はおぞましい人権侵害を犯している」とも発言。イエレン財務長官イコール、バイデン政権の中国に対するスタンスです。

 一方、中国は米防衛産業向けのレアアース輸出制限を検討していると伝えられました。米中の緊張関係は間接的には、豪ドルのレベルに影響を与えます。なぜか?今日の注目通貨をご覧ください。