重要!決算発表がよいのに株価が下落した場合の対処法

 例えばこのようなケースを想定してみてください。

 2021年3月期は新型コロナウイルスが会社にとってはプラスに働き、2020年3月期に比べて業績が大きく伸びる予想で、実際に今のところも順調な業績です。

 第3四半期決算の数値や通期業績予想などから予測すると、この状況は2022年3月期も続きそうで、売り上げや利益は2021年3月期とほぼ同じくらいの水準になりそうです。

 では、この会社の株価が、第3四半期決算発表をきっかけに急落したとしたら、どう対応しますか? 筆者なら、決算発表での業績がどんなによくても、株価が急落して下降トレンドになったならば、手を出しません。

 このときにやってはいけないのが、「第3四半期決算もよく、通期の業績もよいのだから、株価が大きく下がったところは割安。買っていこう」という考え方です。

「株価の大きな値下がり=割安」の考えは今すぐ改めよう

 株価が大きく値下がりするのを待って株を買おうという個人投資家の方は多いですが、株価が実際に大きく下がったら、「なんで大きく下がったのか?」をまず考えるようにしてください。

 もし、プロ投資家が決算発表の数値から今後の業績の成長はそれほど見込めないと判断して、持ち株を売ったために株価が下落したのであれば、果たしてそれを「割安になった」といえるのでしょうか?

 決算発表前にマーケットでついていた株価が、2021年3月期は好調なのはもちろんのこと、2022年3月期はさらに売り上げや利益が伸びそうだ、という期待が込められているものだったのかもしれません。とすれば、今後の業績に対する期待度が低下したため、下がるべくして下がったのであり、決して株価が割安になったわけではない、と考えるべきなのです。

 もちろん、決算発表の結果に、マーケットが過剰に反応することもあります。その場合は、下落した後、株価が再び上昇に転じますから、それを確認できてから買えばよいのです。

 対応次第で利益にも損失拡大にもつながる決算発表シーズン。もし、決算発表で株価が大きく下がった株があっても、「安く買える!」と喜んで飛びつかないようにしましょう。

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