第3四半期決算特有の注意点とは?

 3月決算企業を例に取ると、7月下旬~8月中旬に発表される第1四半期決算や、10月下旬~11月中旬に発表される第2四半期決算は、前期の本決算で会社側から発表された業績予想のとおりに実際の業績が推移しているかを確認する、という意味合いが強い時期です。

 しかし、第3四半期決算が発表されるのは1月下旬~2月中旬。3月決算企業ではあと2カ月ほどで期末日を迎え、4月以降は新しい期となります。

 そのため、当期の業績が予想に対してどのように推移しているかを確認するのはもちろんですが、加えて、来期の業績がどうなるかに投資家の関心が集まります。

 その結果、発表される第3四半期決算の数値が見た目にはよいものだとしても、それが株価にストレートに反映されない、という事象がよく起こります。

プロ投資家の視線はどこを向いているのか?

 第3四半期決算発表時に会社側から示される業績予想は、今期の通期のものだけです。現在であれば、2021年3月期の通期(1年間)の業績予想が、第3四半期決算短信に記載されています。

 一方、特にプロ投資家の方たちは、第3四半期決算(10-12月期)の数値や2021年3月期通期の業績予想、そしてその他、会社側から開示される情報に、プロ投資家独自の分析・情報を加味して、「2022年3月期はどんな業績になりそうか」を予測します。すると、第3四半期決算で発表された業績は一見よいように見えるにもかかわらず、株価が下落することが少なくないのです。

 つまり、プロ投資家が「2021年3月期は確かに順調のようだが、2022年3月期は期待したほどではなさそうだ」と思えば、その会社の株の買いを見送ったり、保有している株を売ったりしてくる可能性があるということです。