脱炭素を進める前に、天然ガス・LNGの効率利用を進める必要がある
脱炭素を進めるには、最終的には自然エネルギーを拡大する必要がありますが、その前にやらなければならないことがあります。天然ガス、LNG(液化天然ガス)の効率的な活用です。
【1】自然エネルギーは気まぐれ、調整電源としてガス火力が必須
自然エネルギー発電の多くは、気まぐれです。太陽光や風力はその典型です。突然大量に発電されたり、まったく発電がなくなったりします。
電気は基本的には保存ができないため、需給調整が難しく、自然エネルギーが電源に占める比率が高くなると、無駄に電気を捨てる問題や停電が頻発する問題が起きます。
常時、同時同量(発電量と電力使用量を一致させる)を実現するには、自然エネルギーの発電量の変化に合わせて、発電量を増やしたり減らしたりする調整電源が必要です。調整電源として大規模に活用可能なのは、現時点でガス火力発電しかありません。
水素活用で需給調整するには、まだ長い年月がかかります。当面は、化石燃料である天然ガスを使わないと、自然エネルギーの活用が進まないという現実に、人類はきちんと向き合う必要があります。
【2】石炭火力を減らすには、まずガス火力を増やす必要がある
地球規模で脱炭素を進めるならば、経済規模が極めて大きくなった中国やインドが電源の大部分を石炭火力に頼っている問題を、看過できません。
石炭火力に頼り切っている国で、いきなり自然エネルギー発電を拡大することはできません。石炭火力は出力調整に長い時間がかかるので、調整電力とはならず、ベース電源(昼夜を通じて常時同じ出力で発電を続ける電源)にしかならないからです。
自然エネルギーの活用を増やすならば、まず、調整電源としてガス火力を拡大する必要があります。
中国やインドで、石炭火力発電をガス火力発電に置き換えていくことが、脱炭素を世界規模で進めるために必要です。今の地球上には、まだ活用されずに捨てられている天然ガスが大量にあります。
中東の油田では、原油を採掘する際に、出てくる天然ガスを今でも大量に燃やして捨てています。それを、すべてLNGに変えて、もれなく活用することが、地球環境にとって重要です。
油田で出てくる天然ガスを、パイプラインで運べる範囲だけで使うのでは、もれなく活用することはできません。LNGに変換して世界中に運ぶ必要があります。そこで、LNGおよびガス火力発電で高い技術を持つ日本企業に、大いに活躍の場があるはずです。