今後、投資してみたい金融商品・国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 今回は、毎月実施している質問「今後、投資してみたい国(地域)」で、「アメリカ」と「日本」、を選択したお客さまの割合に注目します。

 当該質問は複数回答可で、選択肢は、日本、アメリカ、ユーロ圏、オセアニア、中国、ブラジル、ロシア、インド、東南アジア、中南米(ブラジル除く)、東欧、アフリカ、特になし、の13個です。

図:質問「今後、投資してみたい国(地域)」で、「アメリカ」、「日本」を選択したお客さまの割合 ※複数回答可 ※日本は、2016年5月より選択肢に追加

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 2021年1月の調査で「アメリカ」を選択したお客さまの割合は67.10%、「日本」を選択した人の割合は39.01%でした。グラフのとおり、「アメリカ」の67.10%は、一時的に高水準を維持した2016年序盤や、直近で最高を記録した昨年8月の65%を超え、2008年10月の統計開始以来の最高となりました。

 英国のEU離脱をめぐる国民投票が行われた2016年6月に、世界的に懸念が拡大して、同割合は急低下しました。しかしその後、トランプ氏が米大統領に就任し(当時)、さまざまな期待を振りまき、“トランプ・ラリー”と呼ばれた米国における株価上昇が発生しました。これに乗じるように、同割合は、上昇し始めました。

 昨年11月に米大統領選挙でバイデン氏が勝利した後も、バイデン氏が政権運営を良い方向に導く期待が増幅したり、米大統領選挙とほぼ同じタイミングで新型コロナに有効とされるワクチンが複数登場したりしたため、米国の主要株価指数は大きく上昇しました。これに伴い「アメリカ」を選択する人の割合は、さらに上昇しました。

 2016年6月以降、“トランプ・ラリー”、そして“バイデン・ワクチン相場”などにみられる米国株の上昇が、回答者にとって「アメリカ」を選択する大きな動機になっていると、考えられます。そしてこの点に加えて、もう一つ、大きな動機があると、筆者は考えています。

 米国株“ブーム”です。米国株投資が“ブーム”化している点が、「アメリカ」を選択する、強い動機になっていると、考えられます。株価上昇だけでも同割合は上昇する可能性があるわけですが、ブーム化したことが、上昇に拍車をかけていると考えられます。

 グラフのとおり、同割合は2010年1月から2016年5月まで、上昇しました。この期間(2010年1月から2016年5月まで)と現在は、米国株が上昇しているという点は同じですが、この期間は、米国株はまだブーム化していませんでした。以前になくて今ある要因、それが米国株の“ブーム化”です。

 足元、2016年の水準を超えている要因の一つに、以前になくて今ある“ブーム化”が挙げられると、考えられます。もしそうであれば、今後、ブームがますます過熱感を帯びれば、ますます、「アメリカ」を選択する人の割合が上昇する可能性があります。

 引き続き、「今後、投資してみたい国(地域)」で、「アメリカ」を選択したお客さまの割合に注目していきたいと、思います。

表:今後、投資してみたい金融商品 2021年1月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2021年1月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成