本日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは103.60

下値メドは102.00


コロナ対策、究極的には公衆衛生と経済配慮のバランス

 年明け2日目、1月5日のドル/円は円高継続。103.08円でオープンして高値は東京時間の103.19円。上値は重く、待ちきれない実需からは売りもでてNY時間には103円を割り102.60円まで下落しました。終値は102.72円。終値が103円より円高だったのは昨年3月9日以来。

 今日のマーケットの注目は米ジョージア州の2議席の決選投票。開票は日本時間午前9時半から始まりますが、大接戦ということで結果が判明するのは金曜日まで延びる可能性があります。直前の世論調査によると、バイデン氏の民主党がリードしているようですが、米大統領選の時のように負けた方が結果を不服として抗議することになれば、決着が着くのはさらに先になりそうです。

 なぜジョージア州の決選投票が注目されるかというと、米上院における共和、民主両党の上院過半数争いになっているからです。どちらの党が過半数を奪うかによって、バイデン次期大統領の政策運営は大きく異なってきます。米上院の現時点における議席は共和党50議席、民主党48議席。民主党が2議席獲って50議席ずつになった場合は、上院議長を兼務する副大統領が決裁票を投じる決まり。副大統領は民主党のハリス氏が就くので、民主党が多数派となります。民主党はすでに下院で過半数を確保しているので、上院を制すればブルーウェーブの実現となり、バイデン政権は安定ということになります。

 2021年のマーケットのテーマに「世界的景気回復」を掲げるエコノミストやストラテジストが多いようです。景気回復の大前提はなにかというと、それはコロナワクチン。実際、ワクチン供給が始まった昨年末からは、投資家心理が上向く、いわゆるリスクオンによってNY株式は史上最高値を更新し続けました。

しかし、現実には、ワクチン供給のスピードは、マーケットの期待よりもはるかに緩やかです。英国では昨年末に400万人への接種を予定していたが、実績は53万人。フランスでは1月中に100万人接種の計画ですが、2日時点でたった430人にとどまっています。

 一方、コロナ感染はワクチン供給をはるかに凌駕する勢いで拡大中。英国は3度目の全土封鎖(ロックダウン)に追い込まれ、ドイツも今月末までロックダウンを延長。日本政府も緊急事態宣言を発令しますが、ワクチン接種は3月頃にようやく始まる予定。

 世界経済は景気回復とは逆の方向に動いているので、マーケットの期待と現実のギャップの拡大が、短期的なポジション調整を引き起こすリスクが増大しています。景気回復とドル安がセットにならば、景気回復の遅れはドル高、つまりドル反発の可能性があります。

 FRB(米連邦準備制度理事会)の経済成長見通しも、コロナワクチンが前提。この日はメスター・クリーブランド連銀総裁の発言がありましたが「ワクチンが行き渡れば、今年の下半期の米経済は強い回復を示す」と、ワクチンが景気回復シナリオの中心にあることを示しています。とはいえ、ワクチン配布が順調に世界に行き渡るのか、それとも中止になるのか、変異株に対してどこまで有効なのかなど、現時点では不透明なことが多すぎます。2020年の経済予想が全て間違っていたのだから、 新しい経済予想も間違っていると考えるが合理的です。

 いまいちど、2020年のドル/円を振り返り。今日の注目通貨をご覧ください。

主要指標 終値 

出所:楽天証券が作成

5日のドル/円のNY市場終値は102.72円。前営業日の終値比▲0.43円

今日の一言

誰もが才能を持っている。でも、能力を得るには努力が必要だ – マイケル・ジョーダン