長期的な投資の成功を達成する上で重要なこと

 好況・不況という景気の変動は人間の過剰な楽観論に過剰な悲観論が続くことによって引き起こされる。振り子がある方向に行きすぎると供給過剰となり、別の方向に行きすぎると供給不足となる。ある方向への過剰は別の方向への不足を生み出すといったように、拡張と収縮はけっして終わることがない。

 誰もが市場の方向性に同意しているときには、何らかの理由があるため、一般的には、何か他のことが起こることになる。相場はファーストイン・ファーストアウトだ。誰もが売っているときに買い、そして誰もが買っている時に売ることだ。

 相場は行きたいところに行く。経済もサイクル、相場もサイクル、その裏にあるのは、人間の心理だ。

エリオット波動の基本と波の個性

「相場のフラクタル構造は、フィボナッチ数列のもと、5つの局面とそれに続く3つの局面という8つの基本リズムを1つの周期として反復して繰り返す」
出所:「エリオット波動入門」(パンローリング)

 投機は価格の上昇による「正のフィードバック」のループによって強化され、その結果、「経験の浅い投資家」を市場に参入させることになる。ポジティブ・フィードバック・ループが続き、「陶酔感」が高まると、投資家は市場でのリスクを「レバレッジ」し始める。このサイクルは以下の通りである。

投機のサイクル

出所:リアル・インベストメント・アドバイス

1)   バリューレベルで投資家がマーケットに参入
2)     株価が上昇 
3)     変化が始まる
4)     投機家がIPO(新規公開株)に目を止める
5)     初心者投資家がマーケットに参入 
6)     株価が上昇 
7)     ポジティブ・フィードバック・ループ、株価は上昇するのみ
8)     株価の上昇が心理的に強化される
9)     陶酔感が広がる
10)    レバレッジをかけた投資家が増える
11)    陶酔感が熱狂になり、クレジットが拡大
12)    熱狂によりリスクの許容度が高まる
13)    リスク許容度の高まりによって詐欺や相場操縦が横行する
14)    マーケットがクラッシュし、投機が一掃される 
15)    新たな規制とともに政府が介入
16)    投資家はすべてのリスクを避ける

 相場に「強気」か「弱気」かは、問題ではない。長期的な投資の成功を達成する上で重要なのは、必ずしも市場サイクルの前半で正しかったかではなく、後半で間違えないことなのである。