日本の為替介入が正当化される3つのポイント

1:ドル/円の動きが投機的かどうか、急激な動きかどうか

 例えば、今年2月から3月にかけて3週間という短期間の間にドルは11円以上動き、ボラティリティーが急上昇するような局面がありました。あのまま円高が進めば介入は正当化できたかもしれませんが、すぐに反発したため介入までには至りませんでした。その時の動きと比べると、現在はそういう急激な円高ではありません。ジリジリと円高が進んでいる状況です。

2:円高主導かどうか

 現在のドル/円相場の下落は円高主導ではなく、FRB(米連邦準備制度理事会)の超金融緩和によるドル安主導が背景となっています。従って、日本の当局が介入によってドル安・円高を止めるというのは米国をはじめとしたG7諸国に対して説明が難しいということになります。特にバイデン氏の民主党政権は伝統的にドル安志向を打ち出してくる可能性があるため、介入を認めないことが予想されます。

3:円が過大評価されているかどうか

 ドル/円の均衡レートについて、日本経済新聞社と日本経済研究センターは日経均衡為替レートを公表しています。各国の実質実効為替レートを対象に、各国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映した理論値が推計されていますが、11月に算出された2020年4-6月期の対ドル/円レートの均衡値は1ドル=103.70円となっています。現在の実勢レートとほとんど変わらないため、円が過大評価されている状況ではないようです。

 OECD(経済協力開発機構)なども今年の年末の購買力平価は1ドル=100円近辺としていますので、100円を割った程度では国際的にも円の過大評価とはみなされない状況です。