日本政府が注視する為替の防衛ラインは?

 前回、想定為替レートのお話をしましたが、今回はさらに、企業の採算ラインである「採算為替レート」、そして日本政府が注視する為替の防衛ラインについて、解説したいと思います。

想定為替レートとは?

 想定為替レートとは、企業の事業計画の前提となる為替レートのことです。

 例えば、輸出企業の場合、決算期間中に想定為替レートよりも実勢レートが円安に推移すれば、収益の押し上げ要因になりますが、逆に円高になれば収益の押し下げ要因になります。決算説明では「為替益○○億円」「為替損○○億円」と説明されています。

 想定為替レートで注目されているのが、日銀短観の調査による想定為替レートや企業の想定為替レートがあります。12月調査の日銀短観の想定為替レートは1ドル=106.42円(2020年度下期 大企業・製造業)。企業の想定為替レートでは3月期決算の企業102社の平均値は1ドル=105円40銭、トヨタやホンダなど自動車会社などの主要輸出企業の下期の想定レートは1ドル=105円と、より円高方向に設定されています。