12月の日銀短観から読み取れること
12月14日、12月の日銀短観が発表されました。代表的な指標となる大企業・製造業のDI(業況判断指数)はマイナス10となり、前回の9月調査から17ポイント改善しました。また、非製造業は7ポイント改善してマイナス5となりました。ともに2期連続の改善となりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大前と比べると、依然低い水準にとどまっています。
また、3カ月先の見通しとなる「先行き」の指数は製造業と非製造業で明暗が分かれました。大企業・製造業は2ポイント改善のマイナス8、非製造業は1ポイント悪化のマイナス6の見通しとなっています。
通称、「日銀短観」と呼ばれているこの指標は、日銀が3カ月ごとに景況感を調査している「全国企業短期経済観測調査」のことです。企業経営者に対して景気が「良い」か「悪い」かの景況感や設備投資計画を聞いてまとめたもので、景況感を示すDI(業況判断指数)は、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値です。
日銀は毎年3、6、9、12月に調査を実施し、原則、それぞれ4月初、7月初、10月初、12月央に調査結果を公表しています(公表時刻は午前8時50分)。
対象は大企業、中小企業の製造業、非製造業約1万社と幅広く、また発表の前月に調査しているため景気の現状を示す指標として注目されています。
ただ、今回の調査は11月11日から12月11日に実施されましたが、そのうち約75%の企業は基準日の11月27日までに回答しているため、新型コロナウイルスの感染者が急速に再拡大し始めた11月下旬以降の景況感は十分に反映されていない可能性があります。
また、先行きの見通しについても大企業・製造業は改善されていますが、欧米の経済回復が鈍ってきており、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴って経済活動の制限も実施され始めているため、3カ月後の2021年3月の調査時点では悪化している可能性もあります。