世界の自動車販売の回復が続けばプラチナの価値見直しも
最初の問いに戻ります。ゴールドとプラチナの価格逆転は、なぜ起こったのでしょう? 代替通貨としてゴールドの需要拡大が続いているのに対し、プラチナはディーゼル車の排ガス浄化装置触媒としての需要が伸び悩んだため、価格逆転が起こりました。
それでは、元のように、プラチナがゴールドより高くなることはあるでしょうか? プラチナを代替通貨として買い上げる動きが出ない限り、あり得ないと思います。それは当面、期待できません。
ただし、このまま、いつまでもプラチナが安値であり続けるとも考えられません。世界の中央銀行が、通貨の価値を低下させる量的緩和を続ける限り、どこかで安過ぎるプラチナの見直しが起こると思います。
世界の自動車販売が底打ちに転じつつある今、産業用途(ディーゼル車排ガス処理装置)に使用されるプラチナへの投資を検討して良いタイミングと考えます。
世界の自動車販売台数
世界の自動車販売は、2008~2009年にリーマンショックでマイナスとなった後、2010~2017年まで安定成長が続きました。ところが、18年は伸び悩み、19年から減少に転じていました。20年はコロナショックで、販売が▲17%落ち込むと予想しています。
ただし、自動車販売は、循環します。コロナショックで今、買い替え需要が抑えられているため、潜在的な買い替え需要が積みあがってきている可能性もあります。その場合、2021年の世界自動車販売は、前年比で20%以上の増加になると考えられます。このタイミングで、プラチナへの投資を始めても良いと思います。
長期の資産形成には、長期の分散投資が有効と言われています。過去の常識では、外国株、外国債券、日本株、国内債券に分散投資するのが良いと言われてきました。ところが、長期金利がゼロまで落ちた今、国内債券には投資価値がほとんどないと考えています。
国内債券に代わって、何に投資したら良いでしょう? REIT(上場不動産投資信託)や、プラチナ、ゴールドに分散投資することが、長期的な資産形成に有効と、私は考えています。
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