1:バブルも危機も起こらず、年末比較では平穏な1年に

 金融市場では、新型コロナウイルス感染拡大懸念が再燃し、リスクオフが急激に進む局面もあれば、コロナワクチンの接種が進むことで安心感が広がり、リスク選好が台頭する局面もあり、2020年同様、波の荒い展開が想定されます。

 しかし、次第に「新型コロナウイルスのある日常」が普通となる結果、新型コロナウイルスが金融市場の材料となることも少なくなり、金融市場はファンダメンタルズから見てあるべき水準に落ち着くと考えます。

2:新型コロナウイルスの感染終息宣言は出せず

 コロナワクチンの接種が進んだとしても、100%の感染防止は困難なことや、ワクチンの効果検証にも半年、1年といった時間が必要と考えられることから、2021年中に感染終息宣言を出すことは難しいと考えられます。

 しかし、「新型コロナウイルスのある日常」が普通となることで、過度な警戒感は薄らぎ、旅行やエンターテインメントなどの活動も、新型コロナ前の状況にかなり近づくと思われます。

3:米中関係の改善は見られず

 米国のトランプ政権からバイデン政権への交代により、一部には米中関係が改善に向かうとの期待もあります。

 しかし、世論調査によると、足元では民主党支持者においても過半が中国を快く思っていないことや、民主党議員は共和党議員以上に人権問題などで中国に厳しい見方をする可能性もあることから、米中関係は対立した状態が継続すると考えられます。

4:バーチャル化が一段と進展

 2020年は新型コロナウイルス感染拡大とともに、テレワークをはじめとして、さまざまな分野でバーチャル化が進展しました。この流れは、2021年も継続すると考えられます。それは、バーチャル化が一部で生産性の向上をもたらすとともに「楽」な面があるからです。「楽」になれた人間が、さらなる「楽」を追求することはあっても、不便に戻ることはないでしょう。

 その半面、バーチャル化が進めば進むほど、真の「リアル」の価値はより高まり、たまに接する「リアル」に多額を投じる消費行動も増えるのではないでしょうか。