米国株式に「黄金の20年代」が再来するイメージ

 上記したように、長期にわたる時間分散を心がけてリスクを消化しながら時価資産の増加を期待していく方法が合理的と考えています。

 とは言いながら、「今後長期にわたり米国株式がどのような軌道をたどるか」も大いなる関心事です。誰にもその答えを断言できませんが、米国市場では「2020年代の株式市場は1920年代の強気相場を繰り返す可能性がある」との説があります。

 1920年代の米国は「黄金の20年代」(The Roaring Twenties/The Golden Twenties)と呼ばれています。当時もパンデミック(1918年から1920年に流行したスペイン風邪:世界で約5億人が感染したとされる)で始まった点で現在と似ています。

 1920年初から1929年秋に至る約10年でダウ平均は約3.5倍となりました(年率平均では約14%上昇)。当時の経済・社会の変化は、ラジオの商業放送開始(1920年)、ITT(国際電信電話)の設立(1920年)で普及し始めた電話、T型フォードの100万台量産突破(1921年)に伴う自動車の大衆化、女性の参政権(1920年)などのイノベーションや変化に支えられたことが知られています。

 詳細については、8月21日のコラム「米国は黄金の20年代が再来?」をご参照ください。

<図表3>米国市場で「黄金の20年代」は繰り返されるか

*上記は参考情報であり、将来の投資成果を保証するものではありません。
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成

 図表3は、2020年からの10年を「新・黄金の20年代」と呼び、ダウ平均の推移をイメージしたものです(破線)。あくまでも参考情報であり、株式市場のパフォーマンス(リターンやリスク)を確約するものではありません。

 100年前に発生したパンデミック当時と比べると、感染症に対する医療・治療の技術は雲泥の差で発達しています。実際、パンデミック発生から1年足らずで株式市場は「ワクチン期待」と経済の正常化を織り込みはじめています。

 筆者は、「新・黄金の20年代」をリードする成長分野として、
(1)アフターコロナでも持続的な成長が期待できる「デジタルシフト分野」
(2)生物学的脅威と高齢化に対応する「バイオテクノロジー分野」
(3)新・成長分野と呼ばれる「クリーン・エネルギー(地球温暖化対応)分野」
(4)業種を問わないESG(環境・社会・企業統治)重視の物色

 これらがグローバルスタンダードとなっていくトレンドを見込んでいます。今年の株式市場もパンデミックでリセットされ、1920年代と同様に強気相場が続く可能性をイメージしています。

 株式市場が乱高下するリスクは想定の範囲。2020年代も長期積立投資を実践していくことが合理的と考えています。

「過去は繰り返さないがしばしば韻(いん)を踏む」(The past does not repeat itself, but it rhyme)はマーク・トウェイン(米国の作家)が残した言葉です。相場格言としても知られていますので心に留めていただきたいと思います。

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