株式市場はスピード調整-企業業績の改善期待が支え

 米国市場では先週、S&P500指数が3,626.91ポイント、ダウ平均が29,950.44ドルに上昇して最高値を更新しました(16日)。米大統領選挙はバイデン前副大統領が当選確実となるなか、金融緩和の長期化観測とワクチン開発の報道が好材料となりました。

 米国市場の「恐怖指数」(VIX)は10月28日に42.28まで上昇していましたが、リスクオフ(回避)ムードが後退したことで22.45(11月16日)に低下。投資家のリスクテーク(選好)姿勢が回復したことを示しました。

 こうした流れは世界市場に波及し、東京市場では外国人買い(ショートカバー+順張り買い)が主導して日経平均は直近安値から約3,000円上昇。17日は約29年ぶり高水準(26,014.62円)に達しました。ただ、上昇ピッチが速かったことによる過熱感とウイルス感染拡大不安で足元はスピード調整に転じています。株式相場の堅調を支えているのが業績見通し改善です。

 図表1は、ダウ平均と日経平均ベースのEPS(実績と市場予想平均)の推移を示したものです。低金利の長期化観測と業績改善期待の組み合わせによる「適温相場」が米国株の下値を支えそうです。日経平均ベースの業績は、2020年の減益を経て、2021年は前年比で約15%増益、2022年は約14%の増益が見込まれています。

<図表1>企業業績の改善期待が株式市場の支え

*市場予想平均はBloomberg集計、出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2020/11/20)