C/Gレシオに注目:商品市況は世界経済の持ち直しを予兆
「世界で最も景気に敏感な株式市場」と呼ばれる日本株式について、外部環境が改善しつつある点を確認したいと思います。具体的には、商品市場で「世界景況感の改善傾向・悪化傾向を予兆する」とされる「C/Gレシオ」(倍率=銅先物価格÷先物価格)に注目です。
図表2でみるとおり、C/Gレシオと日経平均の相関性は高いことが知られています。本年後半は、中国が先導する経済活動復活を映した銅価格の相対的堅調(金の相対的軟調)で、C/Gレシオは年初来高値(0.30)に達しました(11月20日)。日経平均の50日移動平均線との相関を振り返ると、C/Gレシオのトレンドが日経平均の動きよりやや先行してきたことがわかります。
日経平均が上値を目指すには、C/Gレシオに象徴される「世界の先行き景況感」が持ち直しの動きを一段と鮮明にすることが必要となりそうです。
<図表2>商品市場は「世界経済の持ち直し」を予兆している
図表2では、新型コロナの感染者増加や米追加経済対策を巡る不確実性が拭えないなかでもC/Gレシオが上昇している現状がわかります。その要因として、ワクチン開発成功の報道が相次いていることが挙げられます。
ファイザー・ビオンテック、モデルナなどが開発してきたワクチンが高い有効性で最終試験(第3相治験)を終了。年内(12月初旬)にも米当局が緊急使用を承認し、年末から来年春までに広く接種されると見込まれています。
こうしたワクチンは「コロナ禍のゲームチェンジャー」とも呼ばれ、2021年の景況感改善に繋がっています。こうした動きは、2021年中に日経平均が3万円(現水準から約18%高い水準)を目指すカタリスト(契機)となる可能性を秘めていると思います。2021年7月23日に開催予定の東京五輪(オリンピック・パラリンピック)に向けて内外環境が改善するなら、東京市場を取り巻く空気が明るくなると考えられ、「晴れた日には日経平均で3万円がみえてくる」との機運が高まりそうです。米国で注目されている専門家予想(Good Judgment)によると、22日時点で「東京五輪は予定通り開催される」(The Games will begin)の予想平均は94%と11月4日時点(65%)から急上昇しています。
逆に、「東京五輪は中止される」(The Games will be cancelled)との予想平均は4%と4日時点(31%)から急低下しました。これは、「ワクチン効果」を先取りする予想と言えるでしょう。開催形式(観客数制限など)はあれ、選手・国民・官民の悲願である五輪開催が実現に向かうなら、日経平均を一段と押し上げると期待しています。