PER10倍の成長銘柄を探すのは困難

──アイルさんは信用取引は基本しないとのことですが、その理由を教えてください。

   10年スパンの長期投資なので、基本的に現物投資ですね。株価はリーマン・ショックのように暴落することもあるので、暴落時にも耐えられる現物投資としています。暴落時に強制的に決済される信用取引は、長期投資には向かないと考えています。買いたい銘柄が見付かったのに、すぐに売れそうな株がない場合は、つなぎで信用買建てをすることもありますが、レアケースですね。

──最近は割安株が見つけにくいとおっしゃっていましたよね。実際、そうなんですか。

 ここにきて株安が続いていますが、アベノミクス以降、何だかんだいって株価水準が上がっていますからね。例えばリーマン・ショック後、景気が戻ってきた頃とか、PER(株価収益率)10倍を切る割安成長株がごろごろしていました。でも、最近はそのレベルの銘柄を見つけるのは難しくなっています。

話し方が下手でも、自分の言葉で答えてくれる経営者のほうが信じられるというアイルさん。「毎年行ってみて、去年と違うこと言ってたり、下方修正に関して言い訳しかしない場合はダメかも。業績が期待どおりでなくても、未達となった理由や今後の見通しをちゃんと説明してくれたらOKなんです」

──とはいえ、探せば見つけられますか?

 はい。しかし、よくよく調べたら「ワケあり」だったりするんです。リーマン・ショック後は、業績がいいのになぜか割安なまま放置されている銘柄がたくさんありました。だから、買う価値があったんです。でも今は、何かしらのマイナス要素があるから安いというケースが多いんです。

──単純に「割安」とは言えないのですね。

 はい。ですから、あまり割安ということにこだわらないほうがいいのかなと。もちろん、本当にお買い得の割安成長株が皆無というわけではないので、いろんな手を尽くして探す努力はします。でも、ある程度は妥協というか、基準を下げることも必要かなということです。

──基準を下げても成長幅が大きければ利益を上げられるわけですしね。

 その通りです。最も重視すべきは成長するかどうかですから。

──今後また割安株がごろごろしている時代がくる可能性はありますか。

 期待したいですね。リーマン・ショック級とまではいかなくても景気がどん底まで落ち込んだら当然、株価は急落するでしょうから。

──それはそれで困りますね(笑)。では、次回は現在どんな銘柄を保有しているのかをお伺いします。

 

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後編:大幅高株の発掘が投資の楽しみ!5つ主力銘柄の入れ替え方法は? を読む!

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