まだ『バブル』からは程遠い印象

 11月以降の日経平均株価の一段高は「米国大統領選終了に伴う不確実性の消失」と「早期開発されたコロナワクチン好感」と見られます。そうした状況下、企業経営者の意識も改善しているようです。

 12月14日に日本銀行が発表した12月の「短観」は、代表的指標とされる「大企業・製造業の業況判断指数(DI)」が、前回9月の同調査より17ポイント改善してマイナス10となりました。マイナス圏は脱していないものの新型コロナウイルス感染拡大を受けて急落した6月調査を底に、景況感が2四半期連続で持ち直しています。

 日銀短観は、日本銀行が年4回(3、6、9、12月)、景気の現状と先行きについて企業に直接アンケート調査を行うもので、日本の経済を観測するものとされています。株価だけでなく、企業経営者の意識も上方に向かっていると捉えることができます。

 株価が下落している局面よりも、上昇している局面で投資家が活気づくのは過去にも見られたことです。多くの投資家が株式投資で結果を出し、得た利益で再投資を行うことで株価はさらに上昇していく性質を持ちます。

 他方、株価に先高観(企業業績の改善などが背景)があると、投資家はできるだけ株を売らず、長く保有して含み益を大きくしようとする傾向が強くなります。結果的に株式市場に流通する株が少なくなり、それを多くの投資家が奪い合うことによって「バブル」と言われる現象が発生する可能性が出てきます。

 過去の例でとくに興味深いのは「バブル現象」が起こると、その最終局面でもっとも株価が大きく上昇することです。その時には、あちこちで「株式投資」の話題が積極的にされていると想像できます。あっちを向いてもこっちを向いても株の話がされているような世の中を指します。

 現状、それには遠いですが、一部では「人知れず割安圏にいた銘柄」、「業績低迷から脱出しそうな銘柄」を安値で買う動きは見られています。

 ここでは世の中と株式市場の変化を反映し、加えて、まだ割安圏にあると思われる銘柄の中から10万円で投資可能な銘柄を紹介します。