玖:それでも物色の流れは変わらない~キーワードは「自動化・無人化・リモート」

 2021年の物色テーマです。「経済がイマイチでも、稼いでいる企業の株は買える」という基本的な視点は変わりません。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)や5G、自動運転などの世界の潮流は、コロナ禍によって「自動化・無人化・リモート」というキーワードを伴い、職場環境から製造現場、公共交通機関や医療、教育、エンターテインメントなど、分野を広げつつその流れが加速しています。また、それらを支えるデバイス機器等に使われる高機能半導体やサイバーセキュリティなどへのニーズも高まっています。

 これらのテーマは、株価が急落する場面があった場合には、逆に買いのチャンスとなる他、新型コロナが向かい風となった旧来型の事業銘柄については、コロナ状況の改善や循環物色の対象として時々買われるという構図が2021年も続きそうです。

拾:来るか?「令和のベビーブーム」

 こちらも、2021年の物色テーマについてです。

 コロナ感染者増に伴い、懸念されていたのが「医療崩壊」です。感染者受け入れ数の問題はもちろん、コロナ患者で病院が埋め尽くされることによって、他の病気やケガの治療が受け入れられない不安、そして出生数の減少です。2020年の出生数は過去最少となった2019年(86万5,239人)を下回る可能性があります。

 となると、ワクチンが効果を発揮し、医療体制が落ち着いてくれば、その反動で出生数が増加してくることも考えられます。

 これまでのところ、菅政権の少子化対策は待機児童解消や男性の育児休業取得促進など、既存政策の繰り返しにとどまっていますが、さらなる拡充があれば「令和のベビーブーム」があるかもしれません。

 

 以上、かなり大ざっぱな論点整理となってしまいましたが、2021年の日本株は基本的に堅調な推移となるのがメインシナリオです。そして、そのシナリオが崩れそうかどうかを、紹介した10の視点でチェックしながら臨むことになります。

 毎年この時期になると干支にちなんだ相場格言が注目されますが、2021年の丑年は「つまづき」とされ、過去の丑年相場を振り返ると相場の天井になっていることが多いです。「繁栄」だった2020年の子年相場が格言通りとなっただけに、2021年は少し気を引き締めるぐらいで臨むのが良いのかもしれません。