一大消費地の欧州で、新型コロナの感染状況に改善の兆しが見え始めたことは好材料

 欧州は、プラチナの一大消費地域です。以下のとおり、全需要の約30%を、欧州が占めています。

図:プラチナの需要動向(国・地域別) (2019年)

出所:WPIC(World Platinum Investment Council)のデータより筆者作成

 

 先述の自動車排ガス浄化装置向けの他、宝飾、歯科、投資用など、さまざまな用途でプラチナが消費されています。さまざまな用途で用いられているため、景気の良し悪しが、プラチナの需要動向に影響することがあります。

 プラチナの一大消費地である欧州で、景気が上向く兆しが出始めていると、筆者は考えています。以下のとおり、新型コロナの回復率(ここでは、回復者数÷感染者数で計算)が、11月の半ば以降、複数の欧州主要国で回復し始めているためです。

図:欧州などの主要国における新型コロナの回復率(回復者数÷感染者数)

出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 欧州主要国では、感染者の増加は止まっていないものの、11月半ばごろから、イタリアやドイツなどで回復者数の増加が目立ち始めており、回復率が上昇しはじめています。回復率が高水準であればあるほど、感染者が早期に社会復帰できる、つまりその国全体としては、(排反関係とも言える)経済と生活の回復を、同時進行しやすくなると、考えられます。

 欧州主要国で、少しずつ、回復率が上昇しはじめた点は、今後の欧州経済の回復を根底から支える、強い材料になると、考えられます。ワクチンが普及する前にこのような事象が起きている点は注目に値すると考えます。