プラチナなど、一部のコモディティ市場で投機筋の活動が活発化している
投機筋は、短期的なトレンド(上昇も下落も)を増幅させる働きがあると考えられます。何らかの上昇要因が発生し、価格が上昇している市場において、投機筋が買い建玉(たてぎょく)を増やした場合、価格上昇のスピードが増す場合があります。(逆もしかりです)
以下のグラフは、“バイデン・ワクチン相場”が始まったころ(11月3日)と11月24日の、各コモディティ銘柄の投機筋の買い越し枚数(買い枚数-売り枚数)の変化を示しています。
図:各コモディティ銘柄の投機筋の買い越し枚数の変化 (11月3日と24日を比較)
“バイデン・ワクチン相場”の最中、価格が下落した金や小麦は、買い越し枚数が減少しました。また、価格の上昇率が比較的低かった砂糖、赤身豚肉、綿花も、買い越し枚数の減少が確認されました。
一方、この間、投機筋の買い越し枚数の増加が目立ったのは、カカオとプラチナでした。米国の先物取引所で売買されている先物銘柄の中で、カカオとプラチナは、金や原油などのメジャーな銘柄に比べれば、売買高はさほど多くありません(限月によっては、むしろ少ない場合もあります)。
売買高がさほど多くない先物市場で、投機筋が買い越し枚数を増加させた場合、彼らの注文によって、価格の上昇が加速する場合があります。“バイデン・ワクチン相場”の最中、カカオは20%弱、プラチナは10%を超える上昇を演じています。
投機筋が買い越し枚数を増加させたこと、その市場が、売買がさほど多くないこと、などの条件がそろったことが、このような大きな上昇のきっかけとなったと、考えられます。
後述しますが、足元のプラチナ価格は、長期的な視点でみて、プラチナ自身の過去の高値に比べて安い水準にあります。短期的な売買に主眼を置いているとみられる投機筋も、今回の物色の際は、プラチナの長期的視点における割安感に着目した可能性があると、筆者は考えます。
次より、プラチナの需要動向に着目し、少し長めの時間軸の話をします。