米国株式市場、次のポイントは上院の勝敗

 米大統領選では、民主党のジョー・バイデン氏が当選を確実にしました。米議会では、民主党が過半数を維持する見通しで、残る上院でどちらが優勢になるかが焦点となります。株式市場では、共和党が上院の過半数を維持し、民主党が目指す法人増税等の施策の実現が困難になるとの期待が広がっています。

 ただし、1月5日に予定されている南部ジョージア州の決選投票で、民主党が残る2議席を獲得すれば、獲得議席を50対50まで伸ばせる可能性があります。上院議長を兼ねる副大統領に民主党のカマラ・ハリス氏が就任すれば、同氏の一票で最終決定するケースも想定され、実質的に民主党が過半数を取ることになります。

 ジョージア州では共和党の候補が有利と言われていますが、バイデン氏が民主党の候補者として28年ぶりに勝利したこと、その背景に、地元の有権者登録運動の成果があったと指摘されていることを考慮すると、決選投票で民主党が2議席を確保するストーリーも想定しておきたいところです。

 上院、下院共に民主党が優勢となり、民主党の大統領が就任した場合、懸念されるのは法人税の増税や大型テック企業への規制強化ですが、2021年にそれらを実施するかは不明で、直ちに悪材料につながるものではないとみられます。

 それよりも、大規模な経済支援策や、バイデン氏が考える経済政策がスムーズに通る可能性が高まり、新型コロナウイルスワクチン開発の良好な試験結果と相まって、今後の経済回復に対する期待はより一層高まると考えられます。新政権が、中国との対抗について、「懲罰的な貿易手段を採用しない」と述べていることも、経済の安定化につながるでしょう。