2017年に発生した繰り越し損失は今年中に相殺しないと切り捨てられる

 税務上、上場株式の売買などで損失が生じた場合、毎年確定申告をすることを条件に、3年間損失を繰り越しすることができます

 ただし、3年間を経過したときに残っている繰り越し損失は切り捨てられてしまいます。

 今年であれば、2017年に発生した繰り越し損失は今年中(2020年中)に使い切らないとなくなってしまいます。

 2017年に発生した繰り越し損失がまだ残っていて、かつ含み益を有する株がある場合、その株を売却して利益を実現させ、繰り越し損失と相殺すれば節税をすることができます。

 なお、繰り越し損失は株の売却益だけでなく、配当金と相殺することもできます

 したがって、例えば2017年に発生してまだ残っている繰り越し損失があるものの、2020年に受け取った配当金の方が多い場合、無理に含み益がある株を益出ししなくても、繰り越し損失と配当金を損益通算すれば繰り越し損失を使い切ることができます。

含み損がある株を持っている場合は?

 もし、今年の実現利益が大きくプラスで、かつ含み損を抱えている株を持っている場合は、その株を売却して「損出し」をすることにより、税額を抑えることができます

 来年以降に売却してもよいのですが、もし来年以降に売却して、その年の損益がマイナスになった場合、損失は繰り越せるものの3年経過すると切り捨てになってしまいます。多額の含み損をかかえた塩漬け株でもはやどうしようもない、という持ち株があり、かつ今年の実現利益がプラスなのであれば、今年中に売却してしまった方が、確実に税額を減少させることができます。

 なお、今年の利益がプラスであっても、過去3年間の繰り越し損失(今年であれば2017~2019年分)がまだ相殺し切れず残るようであれば、過去の繰り越し損失と今年の利益の相殺を優先させた方がよいでしょう。無理に含み損のある株を売却して損出しするより、過去の繰り越し損失を使い切る方が節税の観点からは有効です。