年内に売りたい!でも税金は先延ばししたい!という場合の裏ワザとは?

 最後に筆者がいつも使っているテクニックをお伝えします。これを使えば、今年に払わなければならないはずの税金を、翌年に先延ばしすることができるのです。

 それは信用取引を活用する方法です。

 例えば1,000円で1,000株保有している株が3,300円まで上昇した後、下降トレンドに転じ、現在3,000円の株価になっているとしましょう。

 筆者であれば、下降トレンドに転じたら保有株はすぐ売るというルールを設けていますので、この場合もすぐ売らなければなりません。

 しかし、この状況で売ると、売却益に対して(3,000円-1,000円)×1,000株×20.315%=40万6,300円の税金がかかります(手数料、諸費用は無視しています)。

 でもこの時、保有株を売却するのではなく、同じ株を同じ株数空売りするのです。買いと売りが同株数となりますから、どれだけ株価が今後変動しても事実上新たな損益は生じません。

 つまり、保有株を売らずに保有したまま空売りすることで、売却したのと同じ効果が得られるのです。これを「ツナギ売り」と言ったりします。

ツナギ売りをすれば利益の実現を先送りできる

 そしてこの、ツナギ売りこそが、税金を先送りする手法となっているのです。

 冒頭で、株式投資の税金は売却して実現しないと発生しないと書きました。先のケースでは、空売り(ツナギ売り)をしただけで、保有株は保有したまま売却していません。

 そのため、売却したら生じたはずの約40万円の税金を先送りすることができるのです。

 株式投資では利益に課税されますが、損失は3年間しか繰り越すことができません。そして、株式投資でどれだけの成果を出せるかは、マーケット環境次第という面もあります。

 それならば、今後発生するかもしれない損失に備えて、利益はできる限り先送りした方が税金面でも、資金繰りの面でも有利です。

 ただし、ツナギ売りは信用口座を持っていないと実行することはできませんし、空売りができる銘柄でないと実行できません。また、空売りをすることにより多少の追加コストは生じます。
それでも筆者は、空売りできる銘柄についてはこのツナギ売りを活用し、利益をできるだけ先延ばしするようにしています。