雇用とコロナの「負の相関関係」

 米雇用市場の問題のひとつに「恒久的解雇者」が増えていることがあります。「恒久的解雇者」とは読んで字のごとくで、再雇用を条件として労働者を一時的に解雇する「レイオフ(一時解雇者)」と区別するために使われる用語です。「恒久的解雇者」は一時解雇者に比べて再就職率が低いことが特徴。ただし最近では一時的解雇者の再就職率も低下傾向を示しています。一時的な解雇や休業だったはずが、そのまま恒久的解雇となるケースが増えているのです。

 経済のカギを握っているのは雇用。その雇用が新型コロナによって脅かされています。雇用と新型コロナの間には「負の相関関係」が存在しています。新型コロナ感染者が増えるほど雇用が減るという関係ですが、8月に▲0.20以下だった相関係数は9月には▲0.40以上に拡大しています。負の相関関係が強まるなかで新型コロナの感染がさらに拡大しているということは、雇用の鈍化が今後加速することを示しています。

 ワクチン開発にはまだ時間がかかり、米国の景気対策は政治的理由で先送り中の現状。雇用市場がこれまでのペースで回復できる理由はありません。それは非農業部門雇用者数の推移からも明らかです。