(2)2、3年前の相場より大きく上がっている時が売り時

 これは、「ひどくダメ」なアドバイスだ。このようにアドバイスする「お金の専門家」がいるとしたら、大いに軽蔑すべきだ。

 つみたてNISAはせっかく20年の税制優遇期間があるのだから、これを短期間で放棄するのはもったいない。

 また、せっかく大きく値上がりしたのなら、今後複利で運用する効果が大きいので、「なおさら、もったいない!」と考えるべきだ。

 また、「2、3年前の相場よりも大きく上がっているとき」の次の期間に、株価が下落する確率が大きいとは言い切れない。株式のリターンに平均回帰的な傾向が生じる期間はあるが、これは安定的な傾向とは言えない。「事後的に」株価のグラフを見ると、いかにも平均回帰が起こっているかのように感じる場合があるが、「現在が、株価の中期的ピークなのか、ピークを目指す途中なのか」は判断できない場合が殆どだ。

「2、3年前の相場」など参考にならない。

(3)目標金額に到達した時が売り時

 これも、ひどいアドバイスだ。

「お金は、余計にあって邪魔になるものではない」と申し上げておこう。お金が効率的に増えて困ることなどない、と考えるのが普通だ。

(4)元本の2倍になった時に、資産の半分を売却し元本分を回収する

 これも、有害なアドバイスだ。我流にしても、筋が悪すぎる。

 資産運用にあって、元本と値上がり益を区別して、この区別に拘ることは判断を歪める元になる場合が多い。なるべく長い期間複利で運用して、非課税メリットを大きく取りたいつみたてNISAにあって不適切であることは明らかだろう。

 なお、つみたてNISAでなくても、このようなルールは全く役に立たない。