NYダウ:バイデン氏勝利を見据えて戻り基調。外部要因はかなり不安定

 最後に米国株の動きについても見ていきます。

■(図5)米NYダウ(日足)とMACD(2020年10月9日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末の米NYダウ平均株価は2万8,500ドル水準を回復して終えています。これにより、9月の下げ幅の76.4%戻しラインを超えてきたことになります。次は9月3日の全値戻し(2万9,199ドル)がターゲットになります。また、下段のMACDも「0ドル」ラインを上抜けており、順調に戻り基調を描いています。

 あらためて、足元の米国株の上昇の背景として、(1)米国の追加経済政策成立への期待と、(2)米大統領選におけるバイデン氏勝利を見据えた動きが挙げられます。

 まず、(1)の経済政策については、共和党と民主党との間で政策規模の詰め寄りが行われています。2.2兆ドル規模の政策を要求する民主党に対して、1.6兆ドル規模を提示していた共和党が譲歩し、1.8兆ドル規模に増額したことで、協議が進展していると受け止められました。(2)についても、世論調査等でバイデン氏優勢と伝えられる中、「バイデン氏勝利なら法人税増税等で株安になる」という当初の見方が修正され、クリーンエネルギー関連などを物色するなど、選挙後を見据えるような動きが出始めています。

 とはいえ、(1)と(2)の両者ともに確定した材料ではなく、現時点では期待の先取りであるため、今後の動向次第では再び下落に転じる可能性がくすぶっています。

 今週は、米国でも金融株を中心に決算発表が予定されている他、英国のEU(欧州連合)離脱をめぐる協議も15日に期限を迎えます。引き続き、トランプ米大統領の動向とコロナの感染状況にも注意が必要ですし、外部要因はかなり不安定と言えます。したがって、全値戻しからさらに上昇していけるかは微妙で、基本的には下の図6にある丸で囲われた範囲が想定レンジと考えるのが無難と言えそうです。

■(図6)米NYダウ(日足)の動き その2(2020年10月9日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 そんな中で堅調さを維持している日本株は、「真の強さ」が問われているのかもしれません。