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 総務省の世界6都市の比較調査によると東京(NTTドコモ)の標準的なデータプランは世界で2番目に高く、大容量プランは最も高い状況にあります。総務省はこれまで大手による「囲い込み」を排除する施策を相次ぎ導入してきましたが、『携帯料金』は高止まりが続きました。こうした中『携帯料金』の引き下げを重点政策に掲げる菅内閣が誕生し大幅な引き下げを目指しており、今回は従来よりは踏み込んだ値下げになりそうです。

【ポイント1】菅内閣では、『携帯料金』の引き下げが最重点政策

 菅内閣では、『携帯料金』の引き下げを最重点政策の一つに掲げます。菅首相は官房長官時代から「『携帯料金』は4割値下げする余地がある」と発言するなど『携帯料金』の引き下げに力を入れてきました。通信政策を所管する武田総務相は会見で「国民が納得する料金か、国際的に見て日本の料金体系がどうなのか見直す必要がある」と指摘しました。『携帯料金』の大幅な引き下げは簡単に進むとは思われませんが、従前のような小幅な見直しでは済みそうにない状況にあります。通信大手も対応に動き始めています。

【ポイント2】通信大手も対応を開始

 NTTは9月29日にドコモの完全子会社化を正式に発表しました。グループ一体で次世代通信規格「5G」の分野に投資し、成長につなげる方針です。9月30日からTOBを行い、約4割のプレミアム(上乗せ幅)をつけて他の株主から3割強の株式を取得します。NTTの澤田社長は今回の件と『携帯料金』引き下げとの関連について問われ、「ドコモは(今回の件で)強くなるので、値下げの余力がでてくる」と発言し値下げの可能性を示唆しました。

 KDDIの高橋社長は、「5G」の利用促進イベントで、値下げについて「要請を真摯に受け止め、対応を検討する」と説明しました。

【今後の展開】楽天の参入も『携帯料金』に影響

 携帯大手3社による9割の寡占状態が続き『携帯料金』の引き下げはなかなか進みませんでした。今回は政府の取り組みに加えて、楽天の参入も『携帯料金』引き下げに影響しそうです。楽天はサービス対象地域などまだ制約はありますが、「5G」の『携帯料金』について、自社回線のエリア内でデータ通信量が無制限で月額2,980円(税別)にすると発表しました。携帯大手3社に比べ半額以下となります。大手3社が『携帯料金』の引き下げを行ないつつ成長していくには、コストの削減と同時に通信以外のビジネスの拡大が鍵となります。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。