ご主人と奥様との立場が逆のケースも、もちろんあると思いますが、このような会話になったことはないでしょうか? 

 例1では、ご主人には「自分は知識がある。自分は分かっている」という思いがあって、分からない相手をさげすんでいます。奥様は、分からないから聞いているのに、分からないことがいけないことのように、非難されているように思ってしまいます。

 例2は、奥様がご主人から話を聞いたときに、「良い」という思いと、「良くない」という思いの両方が浮かんでいたケースです。両方が浮かんでいたにもかかわらず、うまくいったら「私もそう思っていた」、うまくいかなかったら「私はそうは思っていなかった」と都合の良いほうを取り上げています。このような会話が繰り返されると、ご主人は「あとから言うのではなく、最初から言えよ」と思うでしょう。

 例3と例4においては、2つのポイントがあります。    

 1つ目は、「どう思う?」と相談している奥様は、「いいね!」と言ってくれることを期待して相談しているという点です。「良いと思うよ」と言われると満足ですが、「良くない」と言われると、自分の考えを否定されたように思い、「相談するんじゃなかった」「何も分かっていないんだから」と不愉快な気持ちになります。

 ここで難しいのは、だからといって、ご主人が本心では「良くない」と思っていながら、奥様の期待に応えるために「良い」と言うと、それは嘘になってしまいます。

 このため、「良くないと思う」と言うときには、「いろいろな考えがある中での、あくまでも1つの考えなので、どうなるかは分からないけど」「株は上がると思う人と、下がると思う人の両方がいて、今の株価が付いているので、どちらが正しいというのではないけど」など、一言、加えるといいと思います。

 2つ目のポイントは、「うまくいったら私のおかげ、うまくいかなかったら人のせい」になっている点です。これが繰り返されると、「いつも、うまくいったら、自分だけの力でそうなったように言って、何か悪いことが起こったら、こっちのせいにして」と、いずれ、我慢の限界が訪れる時が来るでしょう。