今後、投資してみたい金融商品・国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 今回は、毎月実施している質問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」と「外国株式」を選択したお客様の割合に注目します。

 当該質問は複数回答可で、選択肢は、国内株式、外国株式、投資信託、ETF、REIT(リート:不動産投資信託)、国内債券、海外債券、FX(外国為替証拠金取引)、金やプラチナ地金、金先物取引、原油先物取引、その他の商品先物、特になし、の13個です。

図:質問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」と「外国株式」を選択したお客様の割合の推移

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 2020年9月の調査で「国内株式」を選択した人の割合は58.65%、「外国株式」を選択した人の割合は45.59%でした。「国内株式」は7月の調査の“50%割れ”から回復基調を強め、「外国株式」は2016年半ばから続く上値基調を維持しました。「国内株式」が回復基調を強めた一因に、“スガノミクス”への期待が挙げられると、筆者は考えています。

 菅氏が、与党自民党の両院議員総会で第26代総裁に選出されたのが9月14日、衆参両議院の本会議での指名選挙で第99代内閣総理大臣に指名され、皇居での認証式を経て、第99代内閣総理大臣に任命されたのが16日でした。

 菅氏が安倍氏の路線を踏襲する方針を示したことで、特に16日以降、“アベノミクス”ならぬ“スガノミクス”が話題となり、コロナ禍での経済回復に期待が寄せられるようになりました。このようなムードの中、9月28日から30日にかけて、楽天DIの2020年9月の調査が行われたわけです。

“スガノミクス”への期待は、「国内株式」の、今後投資してみたい金融商品としての魅力を強める一因になり、“50%割れ”からの脱却をより確かなものにした、と言えると思います。

 一方、先述のとおり「外国株式」を今後投資してみたい金融商品とした人の割合は、引き続き、長期的な上昇傾向にあります。仮に、“スガノミクス”起因の期待増幅がなかった場合、“国内・外国の逆転”が起きていた可能性はゼロではなかったと、筆者はみています。ある意味、“スガノミクス”への期待は、“国内・外国の逆転”を阻止したと言えます。

 米国の主要な株価指数は、短期的な不安定さはあるものの、コロナ禍で巨大IT企業たちがより目立っていること、さらに、米大統領選挙の選挙戦においてトランプ氏対抗馬であるバイデン氏が掲げるクリーンエネルギー策に関連する企業の株価が、好調であることなどを背景に、長期的な視点で見て、高値水準を維持しています。

 10月下旬に実施予定の次回の調査で、統計開始来初めての“国内・外国の逆転”は起きるのでしょうか、米大統領選挙前という要素も加わることもあり、要注目です。

表:今後、投資してみたい金融商品 2020年9月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2020年9月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成