今回の下落は金相場の長期上昇トレンドを覆すものではない。年内2,000ドル回復を予想

 同じ“代替通貨”というテーマにおいて、一時的に“対ユーロのドル高”が下落圧力を加えているものの、長期的には“米国の大規模な金融緩和”が金価格を下支えする可能性があると、筆者は考えています。

図:金相場を取り巻く5つのテーマと今後の長期目線のイメージ

出所:筆者作成

 “代替通貨”以外にも、金融緩和時に株価が不安定化する懸念が生じれば“代替資産”の側面から、また、新型コロナ感染拡大や国家間の争いが続けば、引き続き“有事のムード”の側面から、さらには、統計上明確に新型コロナ第1波を終え、第2波が起きていない中国の景気回復が鮮明になれば宝飾需要が回復し、金全体の需要が喚起される可能性が生じます。

 この10年来、“買い手”であり続けている中央銀行も、コロナ禍にあって、保有している金を売却して現金化する中央銀行もあるかもしれませんが、多くの中央銀行は、それ以上に、何かあった時の備えとして、保有高をさらに積み上げる可能性もあります。

 また、大統領選挙は、郵便による投票が行われるため、11月3日(火)に選挙の勝者が確定しない可能性があるとの報道もあります。事態がさらに混乱したり、選挙の結果次第では、法人税増税の可能性が生じ、株価が不安定化したりして、米大統領選挙をきっかけに、“有事のムード”、“代替資産”の面で、金相場の押し上げ要因が発生する可能性もあります。

 これまでのことから、長期的には、“5本の矢”が金相場を支えている構図は今後も変わらないと、筆者は考えています。下落した場合は1,800ドルを割ることもあるかもしれませんが、勢いを吹き返して反発した場合、年内に2,000ドルを回復する可能性もあると、現段階では考えています。

図:金価格の推移 単位:ドル/トロイオンス

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

[参考]貴金属関連の具体的な投資商品

純金積立

金(プラチナ、銀もあり)

国内ETF/ETN

1326 SPDRゴールド・シェア
1328 金価格連動型上場投資信託
1540 純金上場信託(現物国内保管型)
2036 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ダブル・ブルETN
2037 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ベアETN

海外ETF

GLDM SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト
IAU iシェアーズ・ゴールド・トラスト
GDX ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF

投資信託

ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)
三菱UFJ純金ファンド

外国株

ABX Barrick Gold:バリック・ゴールド
AU AngloGold:アングロゴールド・アシャンティ
AEM Agnico Eagle Mines:アグニコ・イーグル・マインズ
FNV フランコ・ネバダ
GFI Gold Fields:ゴールド・フィールズ

国内商品先物

金・金ミニ・金スポット・白金・白金ミニ・白金スポット・銀・パラジウム

海外商品先物

金、ミニ金、マイクロ金(銀、ミニ銀もあり)