ファンダメンタルズ分析:ソフトバンクグループ

 例えば、最近になってニュースの材料になることの多いソフトバンクグループ(東1:9984)です。

図2:ソフトバンクグループ(東1:9984)の月足チャート

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 ソフトバンクグループといえば、米国の「FANG」などのIT大手株を購入しているのをはじめ、それに伴うオプション取引に多額の資金を投入したり、コンプライアンス担当の幹部が交代したり、2016年に買収した英半導体設計大手のアーム(ARM)社をエヌビディアに売却したり、一部では株式非公開化を検討しているなど、とにかく話題に尽きない状況が続いています。

 ここ数年のソフトバンクグループの動向を見ると、投資会社としての性格を強めている印象ですが、そもそも同社はパソコン用のパッケージソフトの流通業や専門雑誌の出版業からスタートし、「日本にインターネット革命を起こす」というビジョンの元で、「Yahoo!BB」サービスや、ボーダフォン買収による携帯事業への進出などを通じて事業を拡大してきました。

 そして、中国企業のアリババ投資の成功を機にSVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)を立ち上げて、次世代のビジネスや社会を変える有望な企業を育成するために積極的に資金を投入するなど、本格的に投資事業に乗り出しました。

 ただし、最近になって投資子会社を設立して既存の上場株式を購入したり、デリバティブ取引にまで手を広げていたことが明らかになり、投資事業の質が「世界の発展に貢献する」というよりも、「マネーゲーム」の世界へ足を踏み入れている印象になりつつあります。そのため、ソフトバンクグループの稼ぐチカラが相場環境に左右されやすくなった可能性があり、同社株を中長期的に売買する際には今までとは違った見方をする必要があるのではないかと考えることができます。

3つの視点でニュースを冷静にジャッジ

 株式市場は絶えずさまざまなニュースをきっかけに動いていますが、そのニュースが「短期的に動かす」ものなのか、それとも「中長期的な株価の方向を決める」ものなのかを、先ほどの3つの視点を意識して見ていくことで、取引のパフォーマンス向上の一助になると思われます。