ファンダメンタルズ分析:ミクシィ

 例えば、ミクシィ(東1:2121)は2006年9月に上場しましたが、当時はSNS(交流サイト)の「mixi(ミクシィ)」の運営が収益の柱でした。ただし、その後はFacebook(フェイスブック)などのSNSに押されて稼ぐチカラが低減し、それに伴って株価も下降線を描いていきました。

図1:ミクシィ(東1:2121)の月足チャート

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 ただし、2013年の終盤になって株価が急激に上昇していきます。同年に投入されたスマホゲームの「モンスターストライク」が大ヒットし、ダウンロード数の伸びと課金収入増が貢献して、ゲーム会社としての評価が高まった格好です。

 先ほどの視点で捉えれば、(1)については、稼ぐ源泉がスマホゲームへとシフトしたことが大きく、(2)については、その後のダウンロード数が頭打ちとなる一方、有名アニメとのコラボ企画やイベントなどを定期的に実施して、課金収入増のテコ入れを行っていること、(3)については、コロナ禍による「巣ごもり」で期待されるものの、他のゲームとの競合などもあり、かつての勢いはないことなど、ざっくりとしたストーリーが見えてきます。

 足元の株価水準は2017年6月のピーク(7,300円)から比べると、4割弱にとどまっており、新たなゲームのヒットや、他の収益源の育成が課題となります。実際に同社は競馬サイトを買収するなど、新サービスへの投資を行っています。

 このように、まずは(1)で稼いでいる事業を把握することが大事です。大企業ともなれば、さまざまな事業を行っているわけですが、どの事業が収益に貢献しているのかを知る必要があります。新製品や新サービスに関する情報がニュースとなり、株価が好感するといった事例はよくありますが、それが企業の収益貢献度の低い事業であったり、まだ規模が小さいものであれば、株価の上昇も一時的にとどまるケースが多いのです。

 そこで、(2)のステップを見ていくことになります。企業の決算短信や有価証券報告書などでは、どの事業でいくら稼いでいるかが、事業別や地域別などに分けられて説明されているほか、事業環境の状況についても掲載されています。さらに、稼いでいる市場の成長拡大の度合いが大きく、競争相手(同業他社)の数や企業の順位も高ければ、今後も引き続き稼ぐチカラへの期待も高まります。これが(3)のステップです。独自のビジネスモデルやブランド力を保有していることなども優位に働きます。

 アナリストレポートなども、そのほとんどがこのような視点で書かれていますし、また、このような視点を持つことで銘柄に対する考え方も変わってきます。