ファンダメンタルズ分析は意外とシンプル

 ファンダメンタルズ分析といえば、売上高や利益といった業績データや、保有資産や負債などの財務状況を読み解く知識が必要で、やや難解なイメージがあります。確かに、深く・精密に分析するのであれば不可欠ですが、要は、「企業の価値がどのくらいなのか?」をさまざまな角度から探っているだけで、ファンダメンタルズ分析の考え方自体は意外とシンプルです。

「企業の価値」といえば、以前に説明したPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)のところでも登場しました。一般的に、株価は企業の価値を示すとされていますが、その企業の価値は、ビジネスの稼ぐ(利益を生む)チカラである「事業価値」と、企業が保有している「資産価値」の二つに分けられます。株価を事業価値(利益)で比較したものがPER、資産価値で比較したものがPBRになります。

 ただ、少し厄介なのは、ファンダメンタルズ分析の対象となる財務・会計情報などのデータは、企業が過去に活動した結果(業績)に過ぎず、これらのデータを元に将来を予測しなければならないことです。ここがアナリストや相場ウォッチャー、投資家の腕の見せ所となるわけですが、とりわけ、稼ぐチカラの事業価値をどう評価するかがポイントになります。

 そのために必要な視点は以下の3つです。

(1)その企業は何で稼いでいるのか?

(2)どのように稼いでいるのか?

(3)今後も稼ぐ環境に変化はないか?

 以上の3つから、「これからいくら稼げるのか(利益を伸ばせるのか)?」を見通すことになります。