“古くて残念な常識”が生まれた背景

 先述の「思い込み」と、2000年代前半以降、コモディティ市場の独自性が低下したことを組み合わせて考えます。ここで重要になるのがいつ 「思い込み」が発生したかです。

 市場関係者個々に異なりますが、仮に「思い込み」の発生が、2000年よりも前だった場合、その思い込みに、コモディティ市場の独自性の低下が認識されていないことになります。コモディティ市場における“古くて残念な常識”が生まれた原因はここにあります。

 2000年よりも以前に、市場に強い衝撃が加わる、影響範囲が大きく、かつ誰にでも連想できる短絡的な連想が広がる、などによって思い込みが発生したケースです。例えば、1980年前後に金や原油が大暴騰したこと、欧州で自動車産業が拡大してプラチナの消費が注目されはじめたこと、などです。

 次より、金、原油、プラチナに残る、具体的な“古くて残念な常識”についてみていきます。