なぜコモディティ市場の独自性は低下したのか?

 2008年に起きたリーマン・ショック以降、断続的に主要国で大規模な金融緩和が行われ、溢れた資金が株式市場や通貨市場、コモディティ市場に飛び交うようになりました。また、2003年ごろから本格的にETF(上場投資信託)化され、金や原油は、より身近な金融商品の一つとなりました。

“溢れたマネー”と“金融商品化”は、格段に、コモディティとその他の金融商品の垣根を下げました。コモディティが一般化した(文字通りコモディティ化した)ことで、起きた変化は、コモディティが持っていた価格変動要因における独自性の低下だと、筆者は考えています。

 垣根が低くなったことで、価格が上昇することが強く望まれる株式市場や、政治や金融政策、国家間のパワーバランスの動向を強く反映する通貨市場の事情が、コモディティ市場に色濃く反映されるようになり、その結果、コモディティ市場の独自性が低下したと、考えています。

 独自性の低下がはじまったのは、各種コモディティ銘柄のETF化が本格化した2003年ごろで、そこに2008年のリーマン・ショック後、断続的に行われている先進国の大規模な金融緩和が拍車をかけたとみられます。

 ざっくり言えば、2000年代前半以降、金融商品化、大規模な金融緩和がきっかけとなり、コモディティ市場は独自性を低下させた、となります。低下であり、失ったわけではありませんが、2000年代前半を境に、それ以前とそれ以後の、コモディティ市場を取り巻く環境が、大きく変化したことを意識する必要があります。