制度信用取引と一般信用取引の違い
制度信用 | 一般信用 | |
---|---|---|
取引ルールを決めるのは? | 証券取引所 | 証券会社 |
取引できる銘柄数は? | 制度信用 < 一般信用 | |
売り建て取引はできる? | 貸借銘柄のみ | 銘柄によって証券会社ができるか、 できないか決める |
返済期日は? | 6カ月以内に決められている | 1日~無期限と幅広い |
取引中の金利は? | 一般信用より低め | 制度信用より高め |
タケル 取引できる銘柄数は一般信用のほうが多いんですね。取引期限も無期限だったり、一般信用のほうが自由度は高いようですね。
ドーシタ師範 銘柄数を比較すればそうだが、実はそれほど変わらないのだ。制度信用で取引できる銘柄は「信用銘柄」と呼ばれ、証券取引所の厳密なルールをクリアしたもの。その中でも「売り」からスタートする売り建て取引ができる銘柄はさらに絞り込まれていて、これは「貸借銘柄」と呼んでいる。2019年末現在、全上場銘柄数は3,673だが、信用銘柄は3,664と99.8%を網羅、一方の貸借銘柄は2,185で59.5%。「売り」からスタートしたい人にとっては、制度信用だと選ぶ銘柄に限りがあるというくらいの認識でいいんじゃないか。
タケル それくらいの差なんですね。
ドーシタ師範 コスト面でも、制度信用のほうが取引中の金利は低めの設定になっていて、多くの人は制度信用を利用しているのだ。無期限でも取引が長引くだけ金利のコストがかかるからな。
タケル じゃあ、一般信用って必要なんですか?
ドーシタ師範 一般信用のメリットは、なんといっても売り建て取引できる銘柄数の多さと、制度信用の売り建て取引で発生する可能性がある「逆日歩」がないことだろう。逆日歩については、コストを説明するときに改めて。それから、よく注目されるIPO(新規上場)銘柄は信用銘柄になるまで、一定の時間がかかるが、一般信用なら上場のその日から取引できるぞ。では虎の巻6を授けよう。
タケル わかりました。とりあえず買い建て新規注文を入れられて、ホッとしました。そういえば、「信用貸株」についてのお知らせが楽天証券から来ていたんですが、これって何ですか?
ドーシタ師範 それは次回に教えよう。
――【7の巻】へ続く(2020年9月末日公開予定)
信用取引はじめて道場
この連載では、信用取引をスタートするために必要な準備と、株式の売買一巡するために求められる知識とテクニックを身につけてもらうことを目的にしています。
「信用取引は難しくて、よく分からない」という人にもできるだけやさしく、信用取引のメリットとデメリット、そして手数料などのコスト、さらには特有の言葉遣いの解説をします。現物取引はしているけれど、信用取引はやったことがない人が自分で銘柄を選び、取引一巡するまでをナビゲートします。
そして、信用取引が力を発揮するのはどんな局面なのか、上手な信用取引の仕方などの技を主人公とともに学び、株式取引のレベルアップをしていきましょう。