金と株式で一石二鳥?

 米株式の金融相場の加速、反落、そして来る復調への流れを、金相場と対比して捉えると、相互チェックになると同時に、両投資を活(い)かす一石二鳥になり得ます。

 コロナ禍の金相場を振り返ると、まず先行き不安でジリ高となり、7月に米株式が足踏みすると「安全資産」だと囃されて急伸しました。しかし株式相場は減速しつつも堅調であり、共にリスクオン資産の様相に。そして8月上旬に、金相場は膨らみ過ぎた含み益の圧力で自律調整に転じました。その後、8月下旬に株価が急伸する一方、金は一進一退にとどまり、安全資産らしさを取り戻しつつあります。9月の株価急落の中で、金が底堅いものの今ひとつ上がりきれない背景は、リスクオン資産と安全資産の両性質が今も錯綜(さくそう)しているからと診断しています。

 ただし、金相場の底堅さは、投資家の需要が底流で根強いことを窺(うかが)わせ、それは、現況下の株式への需要の底流とも相通ずるものと考えます。今後、リスクオン資産の株式と、リスクオンとオフの両性質を備える金の相場は、次の組み合わせで基本イメージを組み立てています。

・9月の株式調整を通じて、金は相対的に底堅くも今ひとつ上がれない
・10月に気迷いながら株式相場が復調を見せると、金相場もしっかり
・11~12月に株式の金融相場第2波がはっきりすると、金は相対的に控えめながらも上昇

 金は、今後数年の時間軸において、米国の低金利、恐らくドル安、潜在的なインフレ警戒、コロナ禍後の先行き不安がサポートになるとみています。場面場面で投資家が殺到すると、含み益膨張による自律反落リスクを自ら強める恐れがあるものの、分散投資対象として根強い需要が続くとみます。