純資産残高が減少している!どうする?

 純資産残高は、投資している金融商品の価格の変動で増えたり減ったりします。株式に投資していれば、株式相場が下落すると減りますし、海外の株式や債券に投資していれば、為替が円高に振れると減ることになります。

 ただ、株式相場の下落などで、純資産残高が一時的に減少するのはよくあることです。相場が原因であれば、大して気にする必要はありません。しかし、株式相場が回復しても、残高が回復せず減少を続けているときは注意信号です。相場が安定しているにもかかわらず、減少している場合は、投資家による投資信託の解約が相次いでいる可能性が高いためです。

 運用会社は、解約が発生すると、投資家に返金するために現金を手元に用意しておく必要が生じ、機動的な運用が行えなくなります。残高が減少し、ついに運用に支障が出るようになると、運用成績を回復させるのは難しくなります。信託報酬などのコストの負担も次第に重くなっていきます。その段階に入ってしまうと、さらに解約が増えるという悪循環に陥り、最悪の場合、繰上償還によって強制的に運用が終了することもあり得ます。

 また、困ったことに運用がうまくいっていて基準価額が上昇しているときでも、純資産残高が減るという事態が起こります。利益を確定するために、解約する投資家が増えることが原因です。ただし、これは一時的な現象で終わることも多いので、継続的に減り続けているような状態でなければ、過度に気にする必要はありません。

 くれぐれも目先の運用成績だけに気をとられず、純資産残高の推移も忘れずに併せてチェックするようにしてください。