株価急落への事前の備え(2)オプション取引の活用

 オプション取引を活用するのも、株価が突然急落することへの事前の備えとして有効です。

 具体的にはプットオプションを買うことで、株価急落による保有株の損失をヘッジします。プットオプションは、短期間に株価が大きく値下がりすると、逆に価格が大きく上昇するという特性があります。これを活用して、株価急落により利益を得て、保有株の損失を補填(ほてん)しようという考え方です。

 ただ、オプションを買い持ちすると時間の経過とともに価格が下がるという特性があり、長期間保有してヘッジとして有効となるケースはそれほど多くはありません。例えば2008年のリーマン・ショックや2011年の東日本大震災、今年2~3月のコロナ・ショックのように、短期間に極めて大きな株価下落とならないとヘッジ効果はあまり期待できないのです。

 実際、8月28日の日経平均株価700円幅の急落でもプットオプションは大きく上昇しましたが、気付いた時にはすでに値上がりしていて、その後株価が回復するとすぐに価格が下がりました。

 したがって、オプション取引は、数年に1度の極めて大きな急落の初期に用いるか、予め分かっている大イベントへの備えであり、それ以外はルールに従って売却すべきタイミングで売却することで損失の拡大を抑えることが必要である点は、理解しておいてください。