はじめに「7つ」ありき

表題は、4月23日に行われる楽天ファンド・アワードの表彰式で筆者がお話しする講演のタイトルだ。良いファンドを表彰する場で、投信利用の「大間違い!」について話すというのは、場違いではないかと筆者も思ったのだが、弊社の担当者が『週刊現代』のような過激なタイトルを付けて下さい、というので思いついたものの一つだ。

「7つ」という数は、その場の思いつきで、後からテーマを探したのだが、結果的には、投資家が個人の資産運用を考えるに当たって大事なことを、ほどよく盛り込むことができた。自分で言うのは気が引けるが、投資の基本に関わる意外に真面目な内容をお話しする予定だ。

ちなみに、『週刊現代』と現在の投資運用業界には似た点が一つある。『週刊現代』はやや高齢の男性読者が多い雑誌だが、近年、グラビア・ページには20年、30年前のアイドル・タレントの写真が増えている。実は、近年、「フィンテック」などと称して売られている投資系のサービスや「スマートベータ」といった運用商品は、内容的には1980年代くらいに普及したクオンツ運用の焼き直しなのだ。筆者の頭の中では、「フィンテック」と『週刊現代』はイメージが重なるのである。

本稿では、当日表彰式の場にお越し頂けない皆様のために、当日お話しする予定の内容をご紹介する。

大間違いその一、「銀行の窓口で投信を買う」

筆者は、銀行の窓口で投資信託を売ることに反対ではないが、現在、銀行の窓口にラインナップされている投資信託を買うことは全くお勧めできない。率直に言って、手数料が高すぎて、それだけで「買えない」ものばかりが並んでいるからだ。

かつてはリスクの説明ばかりして売る気がないと言われた銀行員の投信販売であったが、今では、対面営業型の証券会社と変わらない強引で積極的なものに変わった。加えて、銀行は、預金口座のお金の動きを通じて顧客の懐事情を証券会社以上によく知っており(たとえば退職金が振り込まれると直ぐに電話が掛かってくる)、個人にとって手強い相手である。

たとえば無料相談であっても、銀行員と話をすることは危険だ。彼らが繰り出すご提案をその場で、素人が否定するのはなかなか難しいからだ。この辺りの事情は、拙著「信じていいのか銀行員」(講談社現代新書)に書いた通りだ。

そして、現在、銀行では、マイナス金利政策の影響で貸出と証券運用共に利回りが下がり、資金利ざやが縮小している。彼らは、現在、預金を集めることよりも投資信託を売って手数料を稼ぐことに注力するものと思われる。銀行窓口で買ってはいけない商品には投資信託だけでなく、一時払いの生命保険商品なども含まれるが、マイナス金利政策の一番の弊害は、銀行が手数料稼ぎに本腰を入れることではないかと、筆者は懸念している。