次に「高い参入障壁」です。これは先ほどのコカ・コーラのように「今更その人たちの向こうを張って勝負しようだなんて、誰も思わないほど圧倒的に強いか?」ということです。

 誰が、今更ネズミのキャラクターを作って、世界中のTシャツや文房具やクレジットカードに描かれたミッキーマウスを、一つ一つ塗り替えていこうと思うでしょうか? ディズニー以外の誰かが、今更、「シンデレラ」や「美女と野獣」などの誰でも知っているありふれた童話を原作に映画を作っても、世界中の映画館で上映されるなんてことにはならないわけです。

 ディズニーは、数十年の時間と莫大な費用をかけて、これらのコンテンツに投資をし、育ててきました。だからこそ、今のエンターテイメント産業における圧倒的な地位がありますし、そのコンテンツを映画、テレビ、テーマパーク、おもちゃなどのグッズ、ライセンス提供など、あらゆる媒体を通じて何度も繰り返し収益化することができるのです。

 もちろん、毎年ヒット映画は生まれていますが、その中で、数十年にわたって人々に愛され、何度も繰り返し消費されるコンテンツはどれだけあるでしょうか? ディズニーは全く違う次元でゲームをしているのです。

 最後に「長期潮流」です。後で詳しく述べますが、これは「今これが増えている」とか、「来年は何が流行りそう」といった中短期的なブームや予想とは全く違います。もっと普遍的で、不可逆的なものです。

 最もわかりやすいものでいうと「人口動態」。先に見たように、30年前に50億人だった人口が現在70億人になり、90億人、100億人と増えていきます。これは未来の話ではありますが、予想ではなく、ある意味「事実」です。

 人口が増える中で、ディズニーランドに行ったり、ディズニーの映画を見たりする人は確実に増えていくのです。

 これらの3つの条件を満たす「構造的に強靭な企業®」であれば、長期的に利益を稼ぎ、増やし続けることができると考えています。

 もちろん、例えばコロナウイルスの影響で、一時的に映画事業やテーマパーク事業の収益が落ち込むことはあり得ます。でも、人類が滅びるわけではありません。状況が収束すれば、人はまた、ディズニーランドに殺到するのです。

<『ビジネスエリートになるための教養としての投資』より抜粋>

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