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 国内の消費は、新型コロナの感染が拡大し外出自粛などで大きく落ち込みました。また在宅勤務の定着などで消費スタイルが一変し、ビジネスモデルの抜本的な見直しまで迫られている企業もあります。こうした中で少数ながら業績が好調な企業があり注目されます。好調企業に共通するのは郊外の幹線道路沿いの店舗が多い『郊外型小売り』企業という点です。一方で都心部の店舗構成の高い企業は苦戦が続いています。

【ポイント1】コロナ禍でも『郊外型小売り』は好調

 新型コロナの感染拡大を契機に、訪日外国人の減少や営業・外出自粛などにより消費は大きな影響を受け、なお収束が見えない状況にあります。外食、百貨店、アパレルなどの年度決算や四半期決算において大幅な減益や赤字が相次ぐ中、少数ながら業績が好調な企業もあり注目されます。好調企業には郊外の幹線道路沿いの店舗が多いという共通点があり、巣ごもり消費によるまとめ買い需要などを取り込みました。

【ポイント2】郊外店舗でまとめ買い需要を取り込み

 郊外を中心に店舗展開するニトリHDは在宅時間の増加を受けて収納用品や、在宅勤務用の机や椅子の需要を取り込みました。3-5月期決算の純利益は前年同期比25.4%増の255億円となりました。

 コスモス薬品の2020年5月期の連結決算は、純利益が同11.7%増の214億円となりました。同社は郊外の大型店が多く食品販売にも注力しています。マスクやトイレットペーパーのほか、巣ごもり消費のまとめ買い需要を取り込みました。

 子ども向け衣料・用品の西松屋チェーンの3-5月期の純利益は同44.5%増の24億円となり、2021年2月期決算予想も同約4倍の43億円に上方修正しました。従来予想は29億円でした。同社は郊外立地で店舗が広く、社会的距離がとりやすいことから消費者に受け入れられ、値下げ競争が沈静化したことで採算も改善しました。

【今後の展開】ウィズコロナへの対応が今後の成長を左右

 決算発表後の6月以降の月次売上をみても『郊外型小売り』好調、都心型小売りの苦戦という状況に変化はみられません。新型コロナの収束が見通せない上、在宅勤務の一部は定着するとみられています。都心でより多くの顧客を呼び込み利益を上げる仕組みは通用しにくくなります。各企業はビジネスモデルの変更を急ぐと思われますが、ウィズコロナ時代への対応力いかんが、企業の今後の成長を大きく左右するとみられます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。