1 あおぞら銀行(8304・東証1部)

▼どんな銘柄?

 経営破綻して公的資金による救済を受けた日本債券信用銀行が前身です。中堅・中小企業との取引、不動産や事業再生案件といった専門性の高い融資を扱う「スペシャリティ・ファイナンス業務」が特徴です。

 コンパクトな規模で全国・海外において事業展開、系列色はありません。個人投資家の保有比率が高いことも特徴になります。GMOとインターネット銀行で提携しています。配当は四半期ごとに実施しています。

▼業績見通し

 2021年3月期第1四半期純利益は74.5億円で、前年同期比37.3%減益となりました。通期計画の285億円、前期比1.3%増益に対する進捗率は26%の水準となっています。

 資金利益が個人の金融商品販売などを中心に前年同期比で伸び悩み、与信費用も前年同期対比ではマイナスに寄与しました。

 株式売却益は第1四半期に10億円ほど計上していますが、期末段階での含み益は177億円の水準にあり、通期計画達成に向けて引き続き売却益の計上が見込まれます。

▼ここがポイント

 現段階では、時価総額1,000億円以上の3月期決算銘柄で配当利回りはトップの水準となっています。今期年間配当金は122円を計画し、前期比では34円の減配となっていますが、第1四半期の決算からは、一段の減配懸念は後退したと捉えても良さそうです。

 リスク要因としては、新型コロナの影響による北米の与信環境悪化などでしょう。

2 三井住友フィナンシャルグループ(8316・東証1部)

▼どんな銘柄?

 3大金融グループの一角で、三井住友銀行、SMBC日興証券、SMBC信託銀行などが傘下となっています。メガバンクの中では高水準のROE(自己資本利益率)など収益性の高さ、経費率の低さなど効率性の高さに定評があります。

 配当金に関しては、減配をしない累進的配当の方針をとっています。不良債権比率も0.7%台と低水準になっています。

▼業績見通し

 2021年3月期第1四半期純利益は861億円で前年同期比60.1%減益となりました。通期計画4,000億円、前期比43.2%減に対しては21.5%の進捗率です。

 減益幅が大きくなったのは、主に与信関係費用の増加と株式等損益の悪化が要因であり、トップラインの粗利益はほぼ前年同期並みの水準です。コロナ禍においては十分健闘していると評価できる内容です。

▼ここがポイント

 2021年3月期の自社株買い期待は低下しているとみられ、固有の株価のカタリストはやや不足している印象ですが、景気回復期待による米国の長期金利上昇はストレートにメガバンクの買い材料につながる状況にはあります。

 中でも、メガバンクの中で最も配当利回り水準が高い同社には中長期で関心を高めたい場面でもあります。政策保有株の削減に積極的である点なども評価材料となります。

3 三菱商事(8058・東証1部)

▼どんな銘柄?

 総合商社の一角で、資源関連株の代表的な銘柄の一つといえます。株価は原油や銅など資源価格の動きと連動しやすい傾向にありますが、中でも、鉄鋼の原料となる原料炭の市況動向が業績に与えるインパクトは大きいです。

 ローソンの親会社でもあり、足元で伊藤忠がファミリーマートを完全子会社化すると発表していることから、同社のコンビニ戦略にも注目が向かいやすいでしょう。また、三菱自動車を持分法適用会社に抱えますが、直近では資金的な支援は検討していないとしています。

▼業績見通し

 2021年3月期第1四半期純利益は367億円で前年同期比77.3%減益となりました。未定としていた通期見通しも公表、2,000億円で前期比62.6%減益としています。前年同期比では、自動車・モビリティと金属資源事業のマイナス影響が極めて大きくなっています。

 一過性の損益では約100億円のマイナス影響となったようです。通期予想の市況前提としては、銅価格は上振れ要因と期待できますが、原料炭の動向には不透明感が残ります。

▼ここがポイント

 新型コロナのマイナス影響が相対的に大きく、4-6月期純利益は総合商社で4位の水準に落ち込んでいます。ただ、配当金は据え置きとしたことで、決算を受けての株価下落から配当利回りは同業他社比で目立った高水準になっています。

 今後も中国景気の拡大基調が続き、資源価格の上昇を促せば、見直しの余地は大きくなっていきそうです。